大宮BL小説です。
閲覧ご注意ください。





2  







撮影が終わったのは明け方の4時。



そのあと大野さん家に直行し…


俺達はお互いの中にお互いを刻みつけた。
何度も何度も。





夜にはまた撮影がある。


なのに、眠ることもなく…
ヤりたてホヤホヤのカップルみたいに。



ひたすらずっと…

お互いの身体を貪った。







呼吸と欲がやっと落ち着いたタイミングで時計を見る。



結局一睡もしないまま…
現場に向かう時間が近づいていた。




俺は居心地の良すぎる大野さんの胸の中から抜け出て…
ゆっくりと身体を起こした。




んだけど…


不意に手首を掴まれ…
また大野さんの胸に、逆戻りした。



和「…なにすんのよ」

「びっくりすんじゃない」



抗議にもならない抗議。
言葉とは裏腹に、胸に擦り寄る。



そんな俺の背中を、優しくなぞりながら…
大野さんは、言った。



智「なぁ…」


和「…なによ」


智「今度の誕生日辺り…」

「休み、とれねぇ?」


和「…え?」



突然の提案に、頭がついていかない。


俺は何度も瞬きしてから…
再度、聞き返した。



和「…え、誰の?」


智「おまえに決まってんだろ」


和「…俺?」


智「…当たり前だろ」
「他に誰がいるんだよ」

「俺の誕生日、昨日終わったし」



…確かにそうだ。

そうだけど…
主語、抜けすぎじゃない?



智「…なぁ」


「行きてーとこ、あるからさ…」

「とれよ、休み」



いままであんまり…
こんな風に誘われた記憶がなくて。


どんな顔して言ってんのか…


ちょっとだけ気になって
俺は思わず顔をあげた。




見つめ合う。



強い言葉とは裏腹に…

お祭りで買う綿あめみたいな、甘い、幸せ色した視線。



そんな…
見慣れない視線に、一気に胸が高鳴った。




…いや、違う。
見慣れないんじゃない。


かつて何度も何度も…
自分に注がれた視線。


ただ甘すぎて…
恥ずかしくて。
いつも直視できないだけ。