大宮BL小説です。
閲覧ご注意ください。
少し痩せた横顔。
頭に巻いた、真っ白なタオル。
一緒にいた頃と同じ、真っ白なTシャツ。
そこから伸びる、焼けた肌…
どうしようもなく会いたかった人がそこにいる。
そのことが…
まるで…
夢の中のようで…
俺は、しばらく立ち尽くした。
不意に、鍋を見つめていた視線が、こちらを向いた。
空気が止まる。
ゆらゆらと揺らめく残像が…
俺の目から、こぼれ落ちた。
瞬きをする。
ゆっくり目を開けると…
もう目の前には、大野がいた。
「おまえっ……」
目の前の男は怒鳴った。
「…どこにいた!?」
大野は…
俺の知る、のんびり・ぼんやりとは程遠い…
一瞬で吹き荒れる嵐みたいに。
すごい勢いで俺に詰め寄った。
「今までどこにいたんだよ!?」
俺に二の句を継がせないつもりなのか、大野は矢継ぎ早に言葉を紡ぐ。
「あの日、おまえが先に引き上げたあの日…!」
「あの日から俺は、ずっと…」
「俺はおまえを探して……」
「なんで勝手にいなくなんだよっ!」
頭ごなしに怒られたことが、なんだか悔しくて…
俺は唇を噛んで睨んだ。
「勝手にって…!」
涙を拭って答える。
「そっちこそじゃん!!」
「そっちだって、勝手にいなくなって…!!」
「俺だって死ぬほど探したし!」
「はぁ?!」
「俺はいなくなってねーだろ!」
「まだいたわ、あの日!!」
「あの日はしょーがねーじゃん!?」
「上官命令で退去の指示出たんだからっ!」
「てかそれいうならさ!」
「おまえこそあん時…」
「一体どこ行ってたんだよ!!」
「俺は上官に呼ばれて今後の話を…」
「…って、出るなら出るで」
「置き手紙の一つや二つ」
「置いて出れるだろうが!」
「そんな暇なかったし!!」
「俺がどんな気持ちで…」
「おまえのいなくなった部屋を見たか」
「おまえにはわかんねーだろっ!!」
「…おまえこそ!」
「閉まったまんまのおまえの部屋の扉」
「俺がどんな気持ちで見たかなんて」
「一生わかんねーじゃん!!」
わあわあと…
俺達は声を張り上げ言い合った。