大宮BL小説です。
閲覧ご注意ください。
こうして…
僕らは大き…くもない、でも大野さん的・最重要機密事項を共有する、共犯者となった。
コーヒータイムには…
げんなりしそうなほど、白い粉を投入し。
何食わぬ顔で部長の席に置いた。
会社の備品にももちろん砂糖はあるんだけど。
異常な消費量だから、大野部長には実費でストック代を請求し、こっそりと僕が買いに行った。
大野さんの甘味係としての任務をそつなくこなす僕に…
大野さんは大変ご満悦のようで。
「見返りは何がいい?」
なんて聞いてきたから…
僕は…
「じゃ、メシ奢ってください」
と言った。
「そんなんでいいのかよ…」なんて呟きつつ…
大野さんは「じゃ週末、行くか」とまた…
僕の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
その週の金曜日。
僕は昼食抜きで夜を迎えた。
待ち合わせの一階ロビー。
僕はぺこぺこのお腹で大野さんを待つ。
今日はずっと一日…
「見返り」が楽しみで。
ぐーぐー鳴るお腹も…
できる人ばかりでいつもは居心地の悪いオフィスも。
全然気にならなかった。
奢りで好きなもの食べれるんだから、気分が上がって当たり前。
別に大野さんとゴハン行くからって訳ではないんだから…
頭の中で勝手に言い訳を並べる。
外食なんて、いつぶりだろう。
何をリクエストするかはもう決めていた。
「悪りぃ、待たせたな」
僕を見つけて…
大股で歩いてきた大野さん。
ふわん、とまた…
甘い香りがする。
甘いもんばっか食べてるから…
こんな匂いがするのかな…
優しい笑顔と、仕立てのいいスーツ。
ピカピカの靴とその香り…
女性にモテる要素しかない大野さんに…
いつまでも見ていられないほどのかっこよさを感じた僕は…
「…行きましょうか」
と、視線を外して歩き出した。
「で、何食いてーんだよ」
僕の隣を歩きながら…
大野さんはジャケットを脱いだ。
今日はちょっと蒸し暑い。
急いで来てくれたからきっと、暑いのだろう。
ジャケットを肩に背負った大野さんの仕草に…
言おうと思ってた「食べたいもの」が言いづらくなる。
もっと…
涼しくなるものの方が、いいのかなぁ…