大宮BL小説です。
閲覧ご注意ください。
とはいえ…
売り上げを上げたいドリンクメーカー側の意図も、無視はできない。
やはり飲んでる本人を突き止めて…
どの程度必要としてるかを聞く必要がある。
僕はお汁粉のヘビーユーザーを突き止めるべく、調査を開始した。
「ユーザー調査」との名目で…
自販機前で一人一人購入品をチェックする。
でも一週間経っても…
僕が勤務している時間にお汁粉ユーザーは現れない。
空き缶も探したけど見つからない。
と、いうことは…
もしかして…
お汁粉ユーザーは、
自分が「お汁粉ユーザーである」ことを、
人に知られたくないと思っているのかもしれない。
だってなんともないならさ?
僕が調査してようと、してまいと…
普通にお汁粉、買うと思うんだよね。
でも、それをせず…
空き缶すら、出さないってことは、だ…
「バレたくない」
そう思ってるのではないだろうか…?
正直、こんなめんどくさいことはやめて…
部内朝礼ででも
「お汁粉買ってる人はだれですか!?」
って聞こうと思ってたんだけど。
もしお汁粉ユーザー自身が、それを秘密にしたいのならば…
これはかえって逆効果になる。
とりあえず地道に探すしかない。
僕は、調査を終了した旨を全体に周知させ…
相手が油断したところを押さえる作戦に、うって出たのだった。
ある金曜日の夜。
やはり週末だからだろうか。
皆休日の予定に備え、残業もせず退社していく中…
僕は事務作業が終わらず、残業を余儀なくされていた。
まぁ別に?
明日も明後日も…
なんの予定もないからさ?
残業したって、いいんだけどさ…
なんだかリア充から程遠い自分が惨めで…
電卓を叩くスピードもいつもより遅く。
余計に時間がかかってしまった。
やっと全ての雑務が終わり…
テーブルを片付けてカバンを手にした時…
「…まだいたのか」
という声に、振り返った。