大宮BL小説です。
閲覧ご注意ください。
最終話です。
二度も僕だけのために…
そんなことまでしてしまう智に…
想いの強さを感じて、また涙があふれる。
「…これ、な?」
智はまるで秘密を教える子どもみたいに嬉しそうに僕に言った。
「重ねて裏、見てみ?」
言われた通りに二つのリングを重ねて、内側を見る。
そこには…
あの絵と、同じ。
あの“続・廊下を走るな”の絵と同じ、二人の繋いだ手が、あった。
「…これ、俺描いたの」
「すげぇだろ?」
「こんな小さいとこに描いたことねーからさ」
「結構苦戦したんだよなー」
「でも、上手く描けてるだろ?」
やっぱ俺天才よなーなんて、自慢気に楽しそうに僕に話す智。
そんな智に心の中で、悪態をつく。
そんな…
なんでもないことみたいに言ってるけど…
…わかってる?
僕にとっては、奇跡なんだよ?
こんな…
こんな、愛の告白…
反則だよ。
もう、涙しか出てこないじゃないか。
こんな風に智と…
指輪をつける日が来るなんて…
信じられなくて。
幸せで。
夢みたいで。
夢なら一生冷めないで…なんて。
そんな…柄にもない事、思ってるんだよ?
僕の咎める心の声が、聞こえたのか…
智がコホン…と咳払いをして、姿勢を正す。
そして、真っ直ぐ僕に言った。
「…かず」
「あの日、みたいに…」
「ほら、あの“廊下を走るな”の時みたいに、さ…」
「俺と、“廊下の果て”まで…」
「いや、その先も…」
「ずっと、一緒にいてくれる?」
僕は、そんなプロポーズを聞きながら…
さっきまでの悪態も忘れて。
二つのリングケースを握りしめて…
泣きながら、頷いた。
リングケースに刻まれた文字…
「together until the end of life」
(人生の果てまで一緒に)
智らしいプロポーズ。
それが、僕らの結婚の、証人となった。