大宮BL小説です。
閲覧ご注意ください。
「…よかった」
ふふっと智が笑う。
そして…
僕をもう一度。
ぎゅっと、抱き寄せた。
「…持って帰ろ?」
「二人で」
「で、また…」
「二人で、一緒に…」
僕はうん…と頷いて…
智にもう一度、抱きついた。
卒業式のあの日。
智の話というのは、少し離れるけどずっと一緒にいよう…というプロポーズみたいなものだったらしい。
「俺、渡したいもんあったんだよな」
そう言って智がポケットから出したもの。
それは…
「リングケース…」
もしかして…
あの“続・廊下を走るな”の絵の二人の指に、光っていた、リング?
「…あ、いや、あれは違う」
「…え?」
「あの日…」
「卒業式に、渡そうと思ってたやつは」
「これ、なんだけどな」
手渡された青いリングケースを開けると…
二つのシルバーリングが仲良くこちらを見ている。
手作り感満載の…
少しごつごつした、二つのリング。
その二つの指輪からは、そこはかとなく智の香りがした。
「…でもさ、これ」
「銀粘土で俺が作ったやつで」
「…え?」
「…智が作ったの?!」
「あー、まぁな」
「でも正直なとこ、高ぇリング買えんかったから作ったって感じで」
「すげぇ不恰好だからさ」
恥ずかしそうに頭を掻く智。
「だから…」
そう言って反対のポケットから出した黄色のリングケース。
そこには…
シンプルなシルバーのリングが二つ。
「リベンジした」
「…え?」
「もっかい、ガチで作った」
「あの絵のリングは、これ」
少し艶消し加工はされているけど…
ウェーブを描いたリングは、キラキラと輝いて僕の目に映った。
そのリングが織りなすカーブは…
なんだかとても、穏やかで…
いかにも智の優しい指先が生んだ曲線のように感じる。
ガチで作ったって…
そんな簡単に言うけど…
そもそも指輪なんて、作れるものなの?
作ろうなんて概念、僕には全くないんだけど…