大宮BL小説です。
閲覧ご注意ください。
俺が家をでた時から、何も変わらない部屋。
ただ、そこに一番いて欲しい人がいない。
がらん…としたいつもの部屋に…
途轍もない違和感を感じる。
なんだろう、わからないけど…
何かを決意したような、冷たい空気に凍り付く。
俺は慌てて寝室のクローゼットを開けた。
そして…
数枚しかないかずの私服と…
二人で暮らすと決めた日に…
かずが手にしていたボストンバック。
あの、大きなボストンバックが…
かずと一緒に姿を消していることに、気がついた。
「…電話は?」
相葉ちゃんが思い出したように声を上げた。
「でんわ!電話かけてみるっ!」
いいながらスマホをすでに耳に当てている。
俺は小さく首を振った。
「…でねぇ」
「ずっと留守番電話」
「…ホントだ…」
翔くんも潤も次々とかけるけど…
誰もかずには繋がらない。
「「にの…」」「にのちゃん…」
「「「一体、どこに行ったんだよ…」」」
俺の思いをそのまんま…呟きにしたような、その言葉に…
かずが本当にいないことを実感して…
俺はドスン…と椅子に身体を預けた。
てか…
もう、立っていられなかったんだ。
絶対に、失いたくない人。
何があっても一緒にいたい人。
そう思った、たった一人の人。
そんな人の手を…
俺はいつ、離してしまったんだろうか。
見失ってしまった愛しい人の姿。
そうなるまで気づけなかった自分に…
ただただ項垂れるしかなかった。