大宮BL小説です。
閲覧ご注意ください。
かべ…
壁、か…
相葉くんと壁。
あまり似つかわしくないワード。
…強いてイメージするなら…
パントマイムの、壁、とか…?
俺がイメージのまんまそう言うと…
『見えない壁、か…』
『見えないからこそ』
『乗り越え方がわからない』
『…それが、一番、怖い』
それだけ言って、大野さんは黙ってしまった。
大野さんにしては珍しく、的を得た答えだと俺は思った。
確かにそうだ。
目に見える、聳え立つ壁なら…
高さもわかるし長さもわかる。
登るならどれくらい登らなきゃなんねーとか。
壁の終わりを探すならどこまで歩かなきゃなんねーとか。
見ればだいたい予測がついて。
気持ちもそこに持ってける。
でも…
見えない壁じゃ…
なんの作戦も、立てられねーもんな…
「てかさ」
俺は言った。
「これはもう、ぶつかるしかねーってことじゃ
ね?」
『…え?』
「ウジウジグダグダ悩んでねーで」
「そのまんまのアンタで」
「ぶつかるしか、ねーんじゃねーの?」
「だってアンタ」
「にのと生きてくんだろ?」
『うん』
「それはもう、何があっても揺らがねーんだ
ろ?」
『…揺らがない』
「…じゃそれをそのまま伝えるだけじゃね?」
「今のアンタの想いを、さ」
『…うん』
静かに。
でもしっかりと、大野さんは返事をした。