大宮BL小説です。
閲覧ご注意ください。
僕が手に持っていたサンタクロース村のパンフレットを見て、降りる場所を教えてくれる。
泣かないで、と、頭を優しく撫でてくれる。
父さんの街の人達は…
とても、暖かい。
僕は涙を拭いながら笑った。
サンタの街は、寒いけど暖かかった。
サンタクロースの家にほど近いバス停に降り立つ。
父さんに、やっと会える。
僕は周りの人と同じように道筋を辿った。
北極線を越えて、サンタクロースの家を目指
す。
暖かい光が漏れたギフトショップを通り抜け、一際大きなログハウスを目の前に、僕はふぅ…と一つ、深呼吸をした。
順番にサンタクロースの前に通される。
ガヤガヤと楽しげな暖かい空気の中…
僕は自分の鼓動が大きく鳴り響く音しか耳に入らなかった。
会いたいと…
ずっと思ってた人が、この扉の向こうにいるんだ…
中に通される。
そこには思い描いた通りの人が、いた。
言葉が出ない。
僕は子どもみたいに泣いた。
父さんは腕を広げて迎えてくれた。
僕は抱きついた。
よしよし…と背中をさすってくれる、大きな
手。
父さんの胸は暖かかった。
「願いごとは?」
尋ねられる。
「あ、母さんが、あなたにずっと会いたいっ
て…」
「だから願いは叶いました」
僕は涙を拭ってそう伝えた。
すると、父さんは、優しい眼差しを僕に向け
た。
「…君の、願いごとは?」