蓮さんのお話はこちら(智side)右矢印season










大宮BL小説です。

閲覧ご注意ください。






「season」 1







side n







どうして?どうして行っちゃうの⁈」




俺は必死で尋ねた。







明確な答えなんか、返ってこない。




子ども心にそう思っていながらも、聞かずにはいられなかった。







「なんで?なんで、そんな遠く⁇京都なんて、遠すぎるよ!」




俺の心とは裏腹に、穏やかな風が通り抜ける。




それは、俺の大好きな人の髪を揺らした。







「かず」





その人は、いつものように俺を呼ぶ。




そしていつもと変わらない、ふんわりとした笑顔で、言った。




「ごめんな」









俺はその一言で悟った。





決めてしまったのだ、と。



俺の知らないところで、全てを。



これはもう、決定事項なのだ、と。








涙が噴き出るなんてこと、ホントにあるんだな。



俺は自分の頰を伝う涙の量を感じながら、そんなことを考えていた。







さっきまで穏やかに吹いていた風が、急に強くなる。



それに乗って目の前に舞い上がる花びら達。



色とりどりのそれは、俺と大野君の間を隔てていく。





どいて。



俺から大野君を取らないで。



嫌だ。



そんなのやだよ。



必死で花びらを掻き分ける。



風がやんだ時、大野君はもう、いなかった。














*次回は13時です!