大宮BL小説です。
閲覧ご注意ください。
耳元で囁かれる。
それがくすぐったくて、首をすぼめた。
その拍子にチラッと振り返る。
確かに孫息子は、険しい顔でこちらを見ていた。
「…ここんとこ、ずっとだって?」
早足で歩きながら大野さんは続ける。
「…あいつ」
「毎日いんだろ?」
僕は驚いて立ち止まりそうになる。
ぐいっと今度は腰を抱かれた。
もつれるように、ひっついたまま歩く。
「いいから歩け」
「てか、なんでそのこと…」
「…おまえ隠れてため息ついてんのが見えたから」
「守衛のおっちゃんに聞いた」
「…ああ…」
「じゃまさか…」
「助けてくれた、ん、ですか?」
「…別にそんなんじゃねぇ」
「…見て見ぬふりして、なんかあったら寝覚めが悪ぃしな」
大野さんはぶっきらぼうに言った。
「…しばらくは一人で出るな」
「帰りは必ず俺を待て」
「…大丈夫ですよ」
「適当にかわしますから」
「…何が大丈夫だよ」
「全くかわせてなかったやつが」
「何余裕こいてんだよ」
「別にっ!」
思わず立ち止まる。
「別に、余裕なんかっ…」
言葉の途中で引き寄せられる。
ぎゅっと大野さんの腕の中に捕らえられた。
「ちょっ…」
驚いてもがくけど、すごい力で閉じこめられたまま。
大野さんの唇が、俺の耳に寄った。
「…わかった
「わかったから黙ってろ」
それだけ言うと、もう一度抱きしめられる。
息が苦しくなるくらい、胸に押しつけられる。
抵抗しようにも身動きがとれない。
大野さんの香水の匂いが、鼻を掠めた。
「二宮くん…」
あ…さっきの、孫息子…!
恨めしそうな声で俺の名を呼ぶ。
「…まだ何か?」
大野さんの低い声。
俺は何故だかわからないけど大野さんにぎゅっとしがみついた。
「アンタ、二宮くんの…」
「…恋人…」
「…だとしたら?」