前回の記事の通り、ラツーダは良い感じなのでこのまま継続することに。

最近整形外科で痛み止めのワントラム(トラマドール)を処方してもらったのですがとっても眠いのです。
その事を主治医に報告しました。

確かに眠気の副作用はある…
だけど他に担当しているリウナチの患者さんは4倍量飲んでも眠くならないケースもあった。
そこで話が終わってしまったので、帰りに薬局の薬剤師さんにも相談してみました。


この眠気はもしかして精神科で使っている薬と相互作用があるのかどうか⁇

それは問題なさそうです。

薬剤師さんの説明でもワントラムの副作用には眠気が多いとのこと。

その他お薬の質問をして色々教えてもらいました。
さすが薬剤師さんは医師よりも詳しいです。


薬局が空いていたのでL-dopa(レボドパ)という抗パーキンソン薬の質問もしました。
レナードの朝という映画で主人公が使っていた薬です。
その薬剤師さんもレナードの朝を見た事があるそうで話が通じました。







セイヤー医師(ロビン・ウィリアムズ)が当時新薬だったL-dopaを嗜眠性脳炎で30年も眠っていた患者レナード(ロバート・デ・ニーロ)に投与し目覚めさせたノンフィクション映画。


当初200mgからスタートしてみるもの効果がなく、セイヤーは薬剤師に増量するよう指示をしますがその薬剤師は減らす手もあると提案した所がハッとしました。

200mgでは多いかもしれないという発想はセイヤー医師も私にも無かったので。


結局は増量して1000mgで効果がありレナードは覚醒します。

30年も体は硬直し、話せず、車椅子かベッドで過ごしていたレナードが立ち上がり会話も出来るようになるまで回復しました。


無表情だった顔に柔らかい笑顔が戻りました。


それまでお世話をしていた母親はレナードの髪を右分けにしていました。

覚醒後のレナードは自分で鏡を見て髪を左分けに整えます。

その姿が思春期の自我の芽生えのように感じました。



舞台の病棟は私も昔お世話になっていた閉鎖病棟です。


認知症の父親に毎日面会に来ていた女性にレナードは恋をします。


自由に外出をしたい。

しかし病院からの許可は貰えませんでした。

閉鎖病棟は外出や外泊をするのに担当医の許可が必要で、保護者の同伴も要ります。


許可が出なくてやけになったレナードは、玄関から飛び出そうとしますが3人の職員に力ずくで引き止められます。

職員達に引きずられるシーンはレナード目線で撮影されており、玄関が遠のいて行くのです。


閉鎖病棟入院の経験があるので哀れなレナードに感情移入してしまいます。

自分が無力である事を思い知らされるのです。



原題『Awakenings』(目覚め)


邦題の『レナードの“朝“』とは希望に満ちた朝かもしれません。

だけど精神疾患の当事者として知っているのは、朝になってみないとその日の体調が分からないということです。


だからレナードも私も”朝”は不安な意味も込められています。













やがて薬に耐性ができ、副作用でパーキンソン症候群の不随運動が激しく出てしまいます。


L-dopaの効果で元気になったのにまた症状が振り返す。

悪化する一方で、そんな姿は恋をした女性には見せたくありません。


レナードは自ら別れを告げます。




最後にセイヤー医師は学会で話します。





“人間の魂はどんな薬よりも強い”


双極性障害の治療薬ラモトリギンは2008年のリリース当初から使っています。

(それ以前はリーマス、バルプロ酸、カルバマゼピン)


私はラモトリギンに生かされていると思っています。

でももしかして私の方が強いかもしれない。

自分主導で治療する発想がありませんでした。


良い映画だったので吹替と字幕両方観ました。

長くなりましたが私の感想でした。




好きになった女性に別れを告げるシーンの悲しいピアノはランディ・ニューマンの曲でした。


3月の外来ミュージック

Dexter’s Tune (Awakenings - Original Soundtrack) (1991)





ロバート・デ・ニーロのパーキンソン症状(振え、歩行障害、筋硬直、不随運動)の演技は凄まじいです。
下の動画です。



2階のレストランでお別れのダンスをし、
バス停がよく見える3階のデイルームまで一生懸命歩いて来たのかと想像しました。

鉄格子の窓から夫の姿が見えなくなるまで見送っていたあの頃を思い出しました。