今日も職場に毛虫の侵入を許してしまった。

発見次第、速やかにホウキにて戸外に掃き出す。

そのとき毛虫は本能的に身を丸くするので、私は冷静に狙いを定め、肩幅に足を開き、少し膝を曲げることで重心を安定させ、出来るだけ美しい円心運動を心掛けながら、体の力をほとんど使わないように、ホウキをスイングする。

ここで余計な力を入れてしまうと、インパクトの瞬間に地面とホウキで毛虫を挟んでしまい、潰してしまう可能性がある。

フサフサと生えた毛が、ともすれば穏やかな印象を与えることもある毛虫であるが、その秘めたる毒性は油断できないものがある。

その見た目に反した毒性に対する裏切りへの怒り。

そして不法侵入という重罪に対する怒り。

それらを一旦、心の外に排し、無垢な子供のような集中力で柔らかくホウキを回すことだけ考えるのだ。

そういうスイングをなし得たとき、毛虫はホウキの先が触れた瞬間に、まるで魔法によって消失したように元いた場所から見失われる。

そこに残るのは、私が描いたであろう美しい円の軌道のイメージだけである。



それこそが私の理想とする毛虫の駆除作法である。

今日は1回目のスイングは完璧だったけど、2回目は欲が出て少し狙いを外してしまったな。

毛虫がいるかぎり私は打ち続け、いつか立派な毛虫ゴルファーになるんや!

ワイは猿や!

誰が猿や!失礼な!



つか、殺さずに飛ばすだけだから、毛虫は何度でも攻めてくるんかの。