やあ、私はウソキャスター、41歳の自称ミュージシャン(無職)である。
家族構成は保育園を経営する妻と、バレーボール選手として単身イタリアへ行った長女、高校を自主退学し絵描きとして世界中を放浪する次女、そして中学生ながら次のオリンピック男子100m走日本代表を狙う長男の、計5人である。
長女も次女も早くから家を出てしまい、一人残る息子は毎日トレーニングに明け暮れ、顔を合わすこともあまりなくなってしまった。
妻は保育園の経営者として忙しくしており、私の日常といえば、一通りの家事をこなし、せんべいなどをかじりながらテレビを見て、ボーっと過ごす毎日である。
ご近所からは、道楽者だと冷たい目で見られてはいるが、私は幸せだ。
と思っている。
ごくまれに、妻が自宅に忘れ物をしたときなど、私はそれを届けるために妻が経営する保育園に行く。
10何年来の付き合いになる、FG140をぶら下げて。
保育園では子どもたちが、私を暖かく迎えてくれる。
思えば私に笑顔を向けてくれるのは、この天使たちだけである。
妻は子どもたちの手前、愛想笑いを浮かべるものの、暗に「早く帰れ」と言うような態度で私をあしらう。
私は、子どもたちが遊ぶ運動場の隅っこ、パンダの椅子のようなものに腰をかけ、FG140を鳴らす。
今は、この子どもたちに唄を聴かせるのが、私の仕事だと思っている。
遠巻きに、保育士さんたちがこちらの様子を伺っている。
その表情は、決して私を受け入れているものではなく、どちらかというと・・・いや、完全にあざ笑っているのだが、子どもたちにそれが伝わらなければ、私はそれでいいと思っている。
妻の姿はない。
私はウソキャスター。
41歳の自称ミュージシャンである。
またつまらぬものを書いてしまった。