HIWI
Hiwiの街を抜けて車を走らせていたら、”retreat”という看板が目に入ってきた。どんなビーチなのか気になって、デコボコのじゃり道を降りて行く。
車を置いて少し歩いていくと、芝生の柵の向こうにクリフが見えた。それは見たこともないほどの高波がぶつかり、青く白いしぶきをあげてる。ジョウイは風が強いのをいいことに、自分の洋服を風に投げて遊んでいる。”こっちよ!”
人懐こそうな金髪の女性2人が手招きをして、木の扉を開けて待っていてくれた。男女4人の見知らぬ人たち。
でも何だか昔から連れ添ってる友達のように、Jと私を草原の小道へ誘い入れてくれた。背の高い草をかき分けながらJに
”楽しいわね”
と後ろを振り向きながら道を進む。
草道を抜けると、そのまま飛べそうなほどの心地いい風が強く下から吹いてきて、一気に視界が広がった。とても急な傾斜のある広い原っぱには気持ちのいい芝草と、たまに大きな岩が太陽を浴びてる。その向こうには、大きくうねる波しぶきと青々とした広い海が見える。
下からの吹き上がる強い風が体を通り抜けて行く。男性たちはその風に飛び乗ろうと、鳥になったつもりで手を羽ばたかせている。
ニューヨークから来たという彼らは、Konaに友人がいて一ヶ月ほどハワイに滞在してから帰るのだとか。彼女たちもまた私たちと同じように、ドライブをしていて、たまたまここを見つけて訪れたという。
金髪の女性とおしゃべりを楽しんで、彼女もHiwiが気にいっているのが分かった。鳥のような気分になれる風と広い景色をそれぞれ楽しんで、またねと言って別れた。
Hiwiの街へ戻るとマーケットが開かれていた。真ん中に大きな木が2本どっしりと構えている気持ちの良い芝生の空き地。その大きな木の木陰にお店が幾つも並んでいる。
オーガニック野菜を並べている人、手作りスイーツ、ジャム、どれもとても美味しそう。ココナッツベースで作ったRaw Ice Creamが売られていたり、年配の女性がRaw Sweetsを出していたり。
木陰の反対側に、私もJも飛びついたお店があった。それは海苔巻き!
日系の老夫婦がゴボウやセロリ、だし巻き卵を海苔で巻いて3ドルで出していた。やっぱり日本のものに出会うと、なんだかホッとするし、無性にお腹も減ってくる。
さっそく買いに行って、芝生の上に座ってJと頬張る。
エマルはスリングから出て、緑色の柔らかな芝生の上をハイハイしている。
金髪の3歳くらいの女の子が、そんなエマルに興味を持って近づいてきた。ジョウイもケタケタ笑いながら、一緒になって地面をはって遊び始めた。
可愛らしい女性がこの坊やフルート吹いてたわよね?と、話しかけてきた。
彼女もスペンサービーチにいたようだった。
彼女やクリフでおしゃべりしたNYの彼女、マーケットでも話しかけてくる人たち。
みんなから温かさをもらった。
木陰のマーケットの方へ目を向けると、手作りチョコレートを出している女性がいた。チョコレートなんて、ほとんど口にしていなかったけれど、とても魅力的にデコレートされている彼女のチョコレートの数々はとっても美味しそう。テーブルに並べられているのを見ているだけでもワクワクしてくる。
一週間のうち2日をかけて、その愛らしいチョコレートたちを作っているという彼女はとても話好き。そこに並べられたチョコレートひとつひとつを、話しかけてくるひとりひとりにその魅力を話してる。
映画ショコラに出てきそうな、いくつものチョコレート。シャンパン・赤ワイン・リリコイのトリュフたちや、ギネスをいれて作ったダークチョコレートケーキ、イチゴにチョコをかけたストロベリーチョコレート、マシュマロチョコレート、ミントチョコレート、ハニーチョコレート、オレンジピールチョコ、様々な形とトッピングのトリュフ。どれも心をくすぐる。
失礼だけれど、これって甘いの?
” What did you say!?
Of course! this is chocolate !! Why do you ask ?
Chocorate is sweet !! ”
バカな質問をする私にちょっと憤慨して彼女は言った。
甘いものなんて!とガチガチマクロビアンだった私。
エマルのいる芝生へ戻って、でも、ジョウイもその美味そうなチョコレートを食べたい!と言いはじめた。
せっかく素敵なマーケットで出会った彼女のチョコレート!
じゃあ、どれにするか選びに行こう♪
小さい頃からいちごが大好きだったJが選んだのは、やっぱりfresh strawberry choco。ジョウイは美味しそうに頬張って、私はどれにしようか迷って。。
ギネスをいれて焼いたダークチョコレートケーキ は、ハワイアンの男性に人気で、今週も買いに来たよと話している。
チョコレートソースをかけてカカオニブをのせて着飾ったそのケーキもおいしそう。
さっきは、変な客ね!という態度でいた彼女だけれど、再びやってきて
”これは何?”
話しかける私に今は優しく答えてくれる。そして、私が初めてハワイにやって来て子供たちとキャンプをしながら島を回っていることを知って、実は旦那さまは日本人なのと打ち解けてくれた。
彼女はどのお客さんにも、きれいな紫のリボンをかけて、ラッピングをしている。そんな彼女の素敵な計らいにまた、心がくすぐられる。
芝生の大きな木の下で、こんな光景があることが素敵。
彼女と話しながら、最終的にダークチョコレートケーキをお願いした。さっそく芝生の上で頬張る。
甘すぎず、見た目と美味しさがマッチした彼女のケーキにすっかりハマってしまった。
私と同じように彼女のチョコレートの虜になってしまったお客さんが幾つも顔を出している。帰り際に、この美味しいチョコレートをFBに載せたいから写真とってもいい?と話しかけたら、
ごめんなさい、これは本当に小さな私のお店なの。だから、Facebookやインターネットなどはお断りなの。ごめんなさい。でも本当にありがとう。と彼女は言った。
また、ここへいつか来たら彼女のチョコレートに出会えるかな。
2013 February
