こちらは過去のお話になります。
思い出しながら書いているので、お話が前後する場合があります。
その日は冬のソチオリンピック男子フィギュアショートの日でした。
携帯を枕元に置いて夜中までスケートを見ていました。羽生くんの滑りは多分ベッドの中で見ていたと思います。
今でもパリの石畳……でしたっけ?あの曲を聞くとこの夜のことが思い出されてせつなくなります。
私の携帯が鳴りました。
あまりにすぐ取ったので弟は驚いたそうです。
状態が悪いらしい。すぐ来てくださいって。
哲平を起こして、慌てて支度をして車に乗りました。
夜中で道が空いてて早いとはいえ車で1時間はかかります。
車の中のテレビはフィギュアの続きで高橋大輔さんが滑っていました。
あれ?
外に目をやると風花がはらっと落ちてきました。
寒いんだな……。
あと10分で到着する‥…と言う時にまた携帯が鳴りました。
今度は施設からで、
あとどのくらいで着きますか?
施設に到着すると、ほとんど会話なく施設長に部屋へ……と案内されました。
部屋に入ると、父の両側からスタッフさん2人がそれぞれ手を握っていました。
亡くなったのですか?
まだその辺にいらっしゃると思います。言葉をかけたら聞こえると思います。
なんとも言えずこの言葉に救われました。
多分さっきの電話の時に逝ったのだと思いました。
少し遅れて弟夫婦も到着しました。
間に合わなかった??
うん。私も間に合わなかった。
その辺にまだ居るって。
ねぇ、見えない??
以前、宿泊したホテルでドアをすり抜けて入ってきた人を見たことがある‥…と言った弟の言葉をこの時瞬時に思い出して、私は訳のわからないことを口走って弟を困惑させました。
昨夜泊まればよかった……。
まさか退院して2日で逝ってしまうなんて。
あの病院の先生が来て、死亡確認をしました。
最後肩に手を置いて
おつかれさま……と早口で言った後、踵を返すようにして部屋から出て行きました。
弟はなんだあの態度……と一言つぶやきました。
決して冷たくはなかったですが、これが日常あることなんだな‥と感じたのを覚えています。
父を引き取る処置の間、別室で待っていました。
窓から見た青みがかった空と、雪が絶え間なく降り始めたのをじーっと見ていました。
葬儀社の車が来た時はすっかり夜が明けて、雪は本降りになりつつありました。
ノーマルタイヤが怖いくらい交差点にも雪が積もり始めました。
後に弟が、バックミラーで父が乗った霊柩車を見ると、運転手2人がゲラゲラ笑いながら何か喋っていてムッとしたと言ってました。
ここにも日常があるんだよ。‥…私たちにとっては非日常だけど……。
1時間半かけて弟の家に着いた時は雪はしんしんと降っていました。
弟の家で仮通夜ですが、愛犬のサラも家に置いてきていたので一旦家に帰って出直すことにしました。
家で支度をしてでようとしましたが、夜にはもう車を出せる状態ではなく、その日は弟の家に行くことを諦めざるをえませんでした
↑リアルなその日の夜の写真です。
身元バレしないよう画像粗くしています。
これは夜9時ごろですが朝方まで降り続き、
起きたらとんでもないことになってました。
大雪のバレンタインデーが父の命日になりました。

