これは現在の話です。
哲平はすでに三十路になりました。
去年まで実家にいましたが、今は独立しています。
息子の独立にあたっては、実は私自身がとても葛藤があったのです。
大学院を出て、社会人になったのは25歳だったのですが経済的には独立するには充分でした。
ただ、仕事がハードで夜中に帰ることは当たり前。
帰りは毎日タクシーでした。
食事は平日は家でで取ることはありません。
洗濯等は私がしていましたが、独立して身の回りのことをする時間はあるのかな??
28歳をすぎる頃から私は葛藤し始めました。
男はいつまでも実家にいてはダメだ。
でもこんなハードな仕事で家のことができるのか?
いやでもやらなきゃダメなんだ!
ぐるぐるぐるぐる……。
ただ、親から言うのではなく、自分から申し出てほしかった。親に言われて何かするのはダメ!
そして去年、息子から仕事場の近くにマンションを借りたので平日はそちらで生活して週末帰ってくる…と言った時は、寂しさよりほっとした気持ちの方が強かったです。
なぜ週末帰ってくる……というのか……。
我が家の一人っ子で長男であると言う呪縛が気づかないうちに息子にも浸透していたのではないか……とそれはショックでした。
義父が施設に入ってから、週末は義母と夕食をとっています。
それもあるのだと思います。
つづく