これは過去のお話です。
時間軸が前後する場合があります。
哲平が、歩けるようになった頃。
用事があってやむを得ず哲平を預けたことがありました。なんの用事だったか覚えていませんが、
時間にして2時間くらいだったと思います。
まさか……その間に哲平を連れて義母が買い物に出るなんて思いもしませんでした。
哲平は歩く……と言ってもまだまだ距離に限界はありましたし、義母が抱っこし続けるには重い。
ベビーカーも持ってきていませんでしたので。
今日、たいへんだったのよぉ〜
郵便局に振り込みがあったから哲平を連れて行ったのよ。
義実家から郵便局まで、私の足で歩いても15分じゃ行きません。
大きな幹線道路から抜け道になっている商店街で、車の往来、自転車の往来も激しい道に面しています。
そこによちよち歩く哲平を連れて行ったというのです。![]()
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問題はここから……。
振込み用紙に記入する際に繋いでいた哲平の手を離しました。
その間に哲平がいなくなったというのです。![]()
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ほんの数秒よ!
ありえない!私なら絶対手を離さない。![]()
片手に哲平を抱いて伝票を書くか、足の間に哲平を挟む感じで常に身体に触れながら伝票を書く。
ほんの数秒でいなくなるはずがない。
これは、絶えず子どもと接している母親の未来予測の力だと思います。
この子の行動範囲はこのくらいだから、こういうことが想定できる……と。
義母はそれができませんでした。
義母が気がついた時には、すでに郵便局内に哲平の姿はありませんでした。![]()
慌てて、車も自転車も行き交う道に出た時、その通りを渡ったところにある細い路地に入っていく哲平の後ろ姿がほんの一瞬見えたそうです。
もしあと数秒遅かったら、哲平の姿は見えなくなり、路地に入ったこともわからなかった。![]()
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車行き交う道を、無事に渡れたことも奇跡だった。
話を聞いて、私は心臓がドキドキしてきて血の気が引いていくのがわかりました。![]()
大人の勝手な思いでその子の安全を守れる能力がないくせに細心の注意もはかれなければ、不幸が重なれば、子供はとんでもない危険に晒される!![]()
私はもし今自分に孫がいて同じ状況になったら、ベビーカーもないのにあの郵便局へ孫を連れていくなんて考えられません。
もしも……を考えたら普段接してない孫を自分だけで連れて歩くなんて怖すぎる。
孫はジジババのおもちゃやアクセサリーじゃないのだから。
それ以後、哲平を預けることは2度としませんでした。