結婚式の日。
白無垢を着て初めて義母の前に出た時の表情と言葉を何十年経った今も忘れない。
少し照れて義母に微笑むと、私の予想とは全く違う答えが返ってきた。
微笑むでもなく、表情をほとんど変えず
あんまり変わらないわね……
え?なに?今なんて言った??
普通、お世辞でもあら綺麗なお嫁さんねぇ…………とか言わないか???
でもまだ私は若かったので、あれ?なんか違うな…………くらいでこれから始まる式と披露宴に心は飛んでいた。
私は大手の企業に勤めていたので、主賓は課長、係長。夫は義父の仕事を手伝っていたから、今から思えば主賓は学生時代の恩師とかでも良かったんだと思う。
でも.主賓席に座っていたのは、義父の恩師。
義父の友達のおじいさん、おばあさんたち。
なんで??なんで??
スピーチは義父を褒め称える言葉ばかり。
お義父さんを見れば息子もわかる……という前置きの後ずーっと義父がどんなに素晴らしいかしゃべってる。
誰の結婚式だ?これ状態。
でも舞い上がっていた私はその人がどういう関係のひとかもまだわからず、リアルタイムには気づかなかった。
後から伯母に、新郎の招待客はお義父さんのことしかか話さなかったわね…お義父さんの結婚式みたあだったわよ。
そう言われて、あ……確かに。
そして、義父は最後の挨拶でこう言った。
息子はまだ鼻垂れの域をでませんが、たまたま相手が同級生だったので、あまり横やりを入れるのもかわいそうかなと思い結婚を認めることにしました。
本当に私は結婚できる嬉しさで鈍感だった。
同級生で年齢的にかわいそうだから結婚を許してやっただとー?![]()
その時私はまだ25歳になったばかりだぞ!
この義父は結婚した直後私にこう言い放った。
子どもはすぐには作らないように……
息子はまだ修行の身だから。
横で義母は.それはお義父さんが口を出すことじゃないわよ…………と止めてたが……。
私たちは2.3年は共働きで2人で楽しむ予定だったけど苦笑い。
妊娠のことを義父と話すことさえ恥ずかしかった、若かった私。
もう、この時点から一筋縄でいかない義父と義母だった。