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私は、結婚する前に、一つの恋を終わらせた。

 

友人たちもほとんど知らない、秘密の恋。

 

こっそり打ち明けた友人からは、

 

「恋愛小説みたい。リアル談なの?」と言われてきた。

 

私自身も、リアルに体験しながら、どこか空想じみていると感じていた。

 

だけど、これは本当の恋。ビターエンドに向かう、一つの恋。

 

※登場人物やストーリーは全てフィクションです。

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「付き合ってるよね?」と聞いてくれた彼と、

 

私はその1年後、幸せな結婚をした。

 

 

 

 

 

 

夫婦として、良いパートナーシップで生活を送れている私は、

 

何の不満もなく、日々が新しい発見と、学び。

 

もう、恋愛は終わり。夫を大切にしよう。

 

そう思って過ごしていた。

 

 

 

 

 

 

 

haruくんは相変わらず忙しそうで、

 

時折メールはきていたけど、たわいもないやり取り。

 

 だけど、私が結婚したことはまだ伝えていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなある日、久しぶりに、友人たちと、haruくんのバンドのライブに行くことに。

 

 

久しぶりに見たharuくんは、少し痩せていて、だけど演奏は以前にも増して力強くなっていた。

 

 

そうだよね、私、この力強いのにどこか憂いを帯びた音色、大好きだったんだ。

 

 

私たちは、ふんだんにライブを楽しんで、解散した。

 

 

 

 

 

 

 

ライブのあと、幼馴染みのTくんが食事に誘ってくれて、

 

 

「久しぶりだったけど、やっぱりカッコよかったよね!」

 

 

と、感想を言い合って。

 

 

こうやって、純粋に音楽を楽しめるって、久しぶりだな。

 

 

私は、haruくんとの日々を強制的に忘れるように努めてきて、

 

 

もう、そうすることが当たり前の感覚になっていた。

 

 

 

 

 

 

「uta、もうharuのこと、忘れられた?大丈夫?」

 

 

「うん、完全にではないけど、大丈夫そうだよ。

 私、夫のことが大事なの。」

 

 

「いやー、でも、今晩、連絡きたりして。」

 

 

「そんなことないよ。もう、連絡はないと思う。」

 

 

 

 

 

 

そんな会話をして、私とTくんは、ライブの余韻を楽しみながらそれぞれに帰宅した。

 

 

 

 

 

 

 

帰宅した私は、

 

 

リビングでテレビを見ている夫の隣に座り、

 

 

一日の出来事をそれぞれに報告し合っていた。

 

 

 

「どうだった?今日のライブ。」

 

 

「うーん。楽しかったけど、もうファンになって5年以上経つから、以前より熱は冷めてきたかな。」

 

 

「そうか。だけど、友人たちと楽しい時間を過ごすのは、良いことだと思うよ。」

 

 

そんな和やかな会話をしていた時のこと。

 

 

 

 

 

 

 

日付も変わろうとしているのに、私の携帯が鳴り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

「uta、電話鳴ってるよ。」

 

 

「えっ?こんな時間に?」

 

 

 

 

 

 

 

二人で携帯の画面を見て、私は愕然とした。

 

 

 

 

 

haruくんだ...

 

 

 

 

 

夫は、見て見ぬふりをしてくれた。

 

 

 

 

 

 

だけど、やっぱり気になったのだろう。

 

 

 

「どうして連絡先、知ってるの?」

 

 

「昔ね、まだ彼が駆け出しだった頃に、街で偶然会えたことがあって。

 この街の美味しいご飯屋さんを教えてほしいと言われて、連絡先を交換したの。

 前にも、打ち上げの場所を探してるって電話がかかってきたことがあるから、

 今回もそれじゃないかな。」

 

 

「そう...だったら良いけど。」

 

 

「何もないよ。私はただのファンだし、電話に出る必要ないよ。安心して。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

haruくん、

 

 

haruくん、

 

 

ずるいよ、今更。

 

 

もう、思い出させないでよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

私はその日、朝まで眠れなかった。

 

 

 

 

 

【続く】