先日の来年パリ五輪の出場権をかけてマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)で、元公務員ランナー、あの川内優輝選手がやってくれました。年齢36歳、出場権のある大会は出ない(現在は撤回しています)と以前表明したことからも、選手としてのピークは過ぎていると思ってましたが、結果4位とは言え間違いなく主役はこの男でした。悪天候の中、号砲と同時に先頭に立ち、大逃げをうったことは想定内としても、まさか35キロまで一人旅とは予想外です。おそらく他の選手もテレビの視聴者も「すぐにつかまるだろう」と思っていたでしょうけど、この人だけは、自分を信じ本気で勝ちにいっていたんですね。見せ場は35キロ地点で後続につかまってから。ズルズル下がらず先頭集団にしがみついて優勝争いをしたことです。私も学生時代は長距離を走っていましたが、一度後続に捕まって、そこから粘って先頭につくなんて常識ではありえません。凄い根性です…。レース後のコメントがまた格好いい。「半分ぐらいの選手はついてくるのが怖くて、もう半分はなめていたと思う。どうせ落ちていくだろうと。そこは『なめんなよ』と」。こんな気概を持っていたらどんな困難も乗り越えられそうです。