「逃げろ!逃げるんだ!」
どなるような声とともに、とつぜん強い力で
腕が引っぱられた。
ガラスがくだけちるようなとがった音。
天井や壁からなだれのように
くずれ落ちてくる くだけた石の粉。
そして人々の悲鳴。
「急いで!こっちだ。」
声にしたがって、走る走る。
向かう先は、どんどん
暗くなっていく。
大勢のの足音が聞こえる。
ただひたすら前を向いて
走る走る。
必死に走る。
「急いで!もっと早く走って!」
「だめ。もう、これ以上は走れない。」
あらくいきをはきながら言ったとき
ふいに、腕をひっぱっていた手がはなれた。
それでも走る。
「おーい、おーい。」
遠くから声がした。
「ここよ。ここにいるのー。」
悲鳴のようにさけぶ。
「早く!こっちだ!急いで!」
「こっちってどこ?どこにいるの?」
「船だ!船に乗るんだ!」
ふたたび声がした。
「急げ!見つかるぞ!」
ふいに、場面が変わった。
暗闇の中。
闇を引きような爆発音が聞こえた。
「きゃぁぁぁぁーー。」
大声でさけぶと、
体は床の上にくずれ落ちていった。
