4章 春


9-1 いい大学へ行っても意味がない


まだ寒さの残る新年の42日。少し強い風が吹く中 秋海棠 紅葉(しゅうかいどうもみじ)はバス亭でバスを待っていた。“今日から新しい生活だ。まさか自分が高校で働くことになるとは・・・。”

ここは横浜から電車で20分の境目駅北口のバス亭。県立四季高校へ向かう21系統のバスを待っている。

他には同じく高校へ向かう学生が10人ほど並んでいる。他には6系統、10系統のバスが同じく四季高校へ行くことが出来るがなぜか四季高校の生徒が20人以上並んでいるので自分は21系統のバスにした。

“お、来たな。”

バスに乗り込んで紅葉は後方の右座席へ座った。バスは北の方へ向かって走る。

途中フォーシーズンパークという自然公園をすぎて約15分ほどで県立四季高校前に到着した。

つづく

9-2 

校門を通ってすぐに大きな桜の木がある。

まだつぼみが開きかけているその木はまるで四季高校を象徴するかのような存在だ。

北棟に入ってすぐ左手に事務室がありそこでまず勤務初日の説明を聞く。

教頭の秋ヲ峰 三郎(あきをみね さぶろう)が入室してきた。

「おはようございます。今日から勤務ですね。よろしくお願いします。」

「こちらこそよろしくお願いします。」

「えー、9時より体育館で入学式がありますので一緒についてきてもらいましょうか。

それまで3階の教員助員室で待機していてもらえますか?」

「はい、わかりました。」

そのまま3階にあがり左に曲がってしばらくすると“教員助員室”の表札がある部屋で立ち止まった。

「では、まだ誰もきてないでしょうが中でお待ちください。」

-

教員助員室はもとはなにかの準備室だったのだろうか、いろいろな道具や備品が置いてある。

真ん中の机には4つ椅子がるので4人いるのだろうか。

秋海棠 紅葉はこの仕事を始めるいきさつを思い返していた。

9-4 

加藤若堂でのバイトはホワイトデーで終わる。さて、4月からどうしようか?

参考書や模試を受ける金は稼がなければならない。

そんななか職業安定所で4月から始まる仕事を見つけた。それは“教員助員”という1年の契約職員であった。

県立四季高校で授業の補佐をする仕事で特に資格は必要ない。給料は月14万と安いが週に3日の休みがある。

これは・・・・。今の俺にはいい条件だな。

応募したところ即面接、採用でまぁ安心して4月を迎えることができた。

9-5

ガチャ。

「おはようッス。」

最初に現れたのはぼさぼさの茶髪の男だった。

「おはようございます。秋海棠です。」

「しゅうさん、って呼んでイイっすか。俺、黄金 週(こがね しゅう)ッス。

高校卒業して浪人してパチにはまって・・・この仕事みつけたッス。」

週はにやにやして言った。

「そ、そうか。」

・・・の間に何があったか気になるな。

「おはようございます。」

「おはようございます。」

「おはようございます。」

続けて3人入って来た。

女の人ひとり男性2人だ。

女性は師走 一二美(しわす ひふみ)。

とびきりの美人ではないがかわいらしく魅力的な女性。歳は同じくらいだろうか。

あとは音栗 レント(おとぐり れんと)というなぜかリーゼントの男でこれも同じ歳くらいか。

もう一人は跳日王 雑誌(ちょうじつおう ぞうし)という眼鏡をかけた10は離れた男。

なるほど。この4人と一年働いていくんだな。どんな人たちかわからないけど・・・。

この一二美ちゃんは・・・かわいいな、ラッキー。今日という日が終わるころにはどんな気持ちかわからないが、

今は揚々とした気分な秋海棠であった。


つづく