これは梅雨のある日のお話である。
いつものように八時三十分のアラームで目覚めると、窓に打ちつける雨の音に気が付いた。
カーテンを開けると、地面に恨みでもあるかのように雨が降っていた。
気圧のせいか頭痛もする。重い頭を抱えてながら立ち上がり、これまた重い足取りで洗面台へ向かう。その最中、恐ろしい光景を目にした。
つゆ。そう、つゆだ。
昨夜食べたまま机の上に置いておいた、ざる蕎麦のつゆが溢れていたのだ。
無情にも、机からカーペットへポタポタと垂れてしまっている。白いカーペットに薄茶色のシミが広がっている。
なぜ溢れているのか、重い頭で思い出す。
そうだ、昨夜尿意で目覚めた時、机に足をぶつけた記憶がある。その時溢れてしまったのだろう。
外はザァザァ。
中はポタポタ。
これが梅雨なのだろ。そしてつゆなのだろう。
カーペットに広がるシミを、腫れぼったい目で見つめながら、諦めたように微笑み、ティッシュペーパーを手に取る。
そんな梅雨の土曜日の朝。