20代初めのころから、人生目標みたいなものがある。

「優しい人」になること




人生目標なんて大げさな割りに普通なことなのにも関らず、
それは今現在もまったくもって達成されていない。


中学時代にとある友人の陰口を言ってる仲間達を集めて、
「陰で言うのはいけないから、今度そのこの前でちゃんと正直に言おうね」
と決めたはずなのに、実際にその現場で正直に面と向かって言ったのは私だけだった。

昔から、何事もはっきりと言ってしまうタイプらしい。



こういうタイプはつくづく損をする。

と気が付いたのはなんと社会人になってから。
(今でもはっきり言ったこと自体に気が付いていないことも多いらしい)


それでも私のそのときの「優しさ」は嘘をつかないこと、はっきりと言ってあげること。
そういうのが優しいものだと思っていた。


今でも正直そういう傾向が多少なりともあるように思う。


夫はまるで逆の人間。

世渡り上手な彼は彼自身も私が時たま口にする夫に対する正直なお伝え、に対して激怒する。
「なんでそうやってはっきり言うの?そういうところが信じられない」って。


ほんとはそんなこと思ってもいないくせに言うお褒め言葉やら優しい言葉は、
私にとっては一番いじわる極まりないような気がしてならない。(かった。)



それでも歳を重ねていくと、そういう今までの私が思ってなかった優しさってのものが分かってきたような気がする。


若いうちに分かってなかった私は単なる自信にあふれた強い若者、思いやりの無い人間だったのかもしれない。




「あなたはどういう人間になりたいですか?」
と20代のころにある会社の面談で聞かれたときにも私は

「優しい人」
と答えた。


「優しい人になるために、らいさんは何が必要だと思いますか?」
今でも慕っている、当時課長だったTさんが続けて私に聞いた。


私が答えずにいると彼はこう言ったことを今でも覚えてる。


「思いやりの気持ち。感謝の気持ちを持つこと・・・」





20代はじめに答えを聞いていたのに、気が付くまでに相当な年月が経っていて、今もまだ相手のことも考えずにはっきりと言ってしまう自分がいる。