この空は水面で、空に浮かぶ雲は浮草なんだ。
僕らは海底からそれを見上げて、水の中で暮らしてる。
よく晴れた日に買い物に行きながら
僕はそんなことを言った。
見上げた空が、昔学校のプールで水中から見上げた空にそっくりだったから。
あの雲は魚に見える。魚の腹の白い部分だ。
僕らは魚を飼うように、神様に水槽で飼われているのさ。
手を繋いだ彼女は、僕の言葉に「水槽なの?」と聞いた。
水槽だよ。蟻を飼ったり、トカゲを飼ったりするような大きいやつさ。
神様は僕らが水槽で蟻を飼うように、僕らを地球っていう大きな水槽で飼ってるんだよ。
僕がそういうと、彼女は「蟻さんなのかー」と感心したように頷いて、またふとした疑問を口にする。
「女王様はいないの?」
女王様はね、沢山いるんだよ。
神様はいろんな種類の蟻を一緒の水槽で飼ってるからね、全部一緒くたにしちゃったから蟻どうしで争うんだ。
「へぇー」
みんな同じ蟻なのにね。
頷いた彼女にそう呟けば、「ね!」と、元気のいい返事が返ってきた。
きっと蟻には蟻なりの争う理由があって、それは大切なことなのかもしれないけど。
僕らは蟻じゃないんだから、勘弁して欲しいなぁと思う。
