北朝鮮を取り巻く情勢をこう考える 2017年09月05日
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北朝鮮が中国・ロシアと米国の同盟国である韓国・日本の間に位置しているため、国際政治のバランス上で北朝鮮の「消滅」を本気で願っている国がないことを理解したうえで、ギリギリの限界点を探りながら挑発活動を繰り返していることになります。
つまり金正恩は「本気」で米国本土に核弾頭を搭載したミサイルを撃ち込むためではなく、あくまでも米国と(中国、ロシアとも)対等の位置に立つために核実験やミサイル発射実験を繰り返していると考えるべきです。
金正恩は後見役であった張成沢が中国と協力して自分を排除して金正男を擁立しようとしていたため「絶対に」中国には歩み寄りません。
それでは中国(習近平)は北朝鮮をどう見ているか?ですが、最大のプライオリティは「北朝鮮を消滅させない」ことでしかありません。北朝鮮からの石炭輸入停止など経済制裁を加えているのも、今回の核実験を批判しているようにも見えることも、トランプが本当に北朝鮮を軍事攻撃して朝鮮半島の政治バランスが変わってしまうと困るからでしかありません。
また習近平は、現時点では北朝鮮と国境を接する中国東北部と人民解放軍の北部戦区(旧瀋陽軍区)を完全にコントロールできておらず、10月18日から開催される中国共産党全国大会に向けて江沢民派を一掃しようとしていますが、それに成功しても北朝鮮への対応はあまり変わらないはずです。
つまり習近平が(共産党大会前でも後でも)米国の期待に応えて金正恩の過激な行動を抑えることは「絶対に」ありません。
ロシア(プーチン)も、米国が軍事攻撃を加えて朝鮮半島の勢力図が変わらないように金正恩を「適度に牽制している」だけです。
それでは米国(トランプ)はどう動くのでしょう?
ここで最近のホワイトハウスの勢力図にも注意を払っておく必要があります。ホワイトハウスでは、トランプ当選を資金面・戦略面で支えた超保守派(窓口がスティーブ・バノン)とトランプにいつの間にか接近していたヘンリー・キッシンジャー(窓口がジャレッド・クシュナー)が対立していましたが、先日バノンが「解任」されたため外交戦略ではキッシンジャーの影響力が強くなっているはずです。
超保守派は徹底的に反中国で、ロシアは大統領選で協力(サイバー攻撃)を得ていた可能性がある程度ですが、キッシンジャーは自らの「顧客」を米国に引き込もうとしており、その「顧客」とは中国、ロシア、イランなど米国にとって問題のある国ばかりです。
つまり超保守派のバノンが追放されたホワイトハウスは、以前に増して中国、ロシアとの対立を避けるはずで、ここからも北朝鮮に対する軍事攻撃という選択肢は出てきません。
(抜粋)