雨の日曜日、まだ山のようにある事務作業はいっとき忘れたことにして、「犯罪学者のアメリカ通信」(藤本哲也/日本加除出版)を読みました。


この本は、UC Berkeleyで犯罪学博士号を取得した著者が、留学中に見聞したアメリカ犯罪学事情をつづったもので、雑誌の連載をまとめたものです。基本的にエッセイなので、アメリカの刑事司法制度と犯罪学という、日本での仕事ではおよそかかわりのない分野を、気軽に概観することができます。特に、UC Berkeleyということでサンフランシスコの話がよく登場しますので、あのあたりに行かれる方にはよいかもしれません。


多くは犯罪統計的なことを「へぇー」と言いながら読みすすめていったのですが、日系移民の章は深く印象に残りました。日系移民の犯罪率は他の移民グループと比較して有意に低く、これは犯罪率を社会階級との関連で説明する通説(?)の立場において、特異的な現象となっているのだそうです。著者はこの点について研究されたようですが、その結論は、この本には書いてありません。興味をひかれるところです。


またその関係で、日系移民の苦労のエピソードも少しですが紹介されており、しんみりさせられます。それにくらべれば、今の私の苦労などなんでもない、という気持ちになります。