決算間近ということもあり、その日、私は顧問の税理士に呼び出され――
怒られていた。
接待交際費が無駄に嵩んでいること、グリーン車に頼りすぎていること。
そして昨年出店した焼き肉屋の設備投資費は殆ど資産に計上されるため、てんで経費にならないこと。
※お陰様で決算時の納税額がかなり予想を上回る結果に…。
ああ嫌だ、嫌だ。
金を払って説教くらうなんてアホらしくて仕方ない。
願わくば一刻も早くこの場から退散し、丘の上でサンドウィッチでもつまみたい――
と、半ば激昂気味の税理士を前に、ぼーっとそんなことを考えていた折である。
RRRRRRRRR。
電話が鳴った。
発信者――マトリョーシカ。
知り合いの女店長からだった。
付言するなら、おっぱいが大きい店長からだった。
私「もしもし」
マ「アタシだけど」
私「ああ、どうも」
マ「いま、ヒマ？」
私「立て込んでます」
マ「うん、じゃあソッコー上野で」
私「いやだから…もしもし？ ……もしもーし!? ………マトリョーシカ―!!!!」
電話は切れていた。
かくして、私の願いは(ある意味)叶ったというか。実際のところ、その店長には日ごろから世話になっている手前、誘いを断るわけにもいかない。それにおっぱいも大きいし。
といったワケで、私は税理士に事情を伝え、すみやかに上野へと向かうことにしたのだが…
指定された場所について一驚。
そこは他でもない、今まさに催しが開かれているSANYOの新台「パチスロ戦国嵐」の試打会場だった。
マ「アンタ、分かってるわよね？」
私「は？ 何が、ですか?」
マ「だから何のためにアンタを呼んだか、ってことよ」
私「さぁ…ピンときませんけど」
マ「アンタ一応、“パチスロに詳しい人”ってことになってるんでしょ？ だったらこの台打って、感想を言いなさいよ」
私「ああ、そういうことですか。買うんですか？」
マ「検討中。だから、打ってみた印象を聞きたいの」
なるほど。そういうことならと、私たちは黒山の人だかりでごった返す会場を進み、実機が設置してあるブースへと向かったワケだが、さすがは一流ブランドの試打会である。しかもスマッシュヒットした聖闘士星矢の後を受けてのAT機ということもあり、試打ブースには気が遠くなるような長蛇の列が…。
お陰様で１時間以上待ってようやく台を確保できたワケだが、まず第一に見た目の印象、すなわち“顔”は合格点。赤・黒・黄色の三色を基調とした重厚な筐体は、いざ設置した時にシマ栄えしそうだし、下パネルに垣間見えるキャラクターのデザインについても、何と言いうか嘘くささがない。
※ちなみに、案内してくれたコンパニオンのおっぱいは…残念、そうでもありませんでした。
ともあれ、流れるように実戦開始。
まずこの機種、基本スペックは１Gあたり＋2.7枚の高純増型AT機となっており、AT当選までのルートは「ゲーム数消化」と「チャンスゾーンによる自力解除」の2種類に大別される。こと初当たりに関してはレア役を機に突入するチャンスゾーン「武将決闘」が肝で、これを如何にモノにできるかが勝敗に大きく影響するであろう旨を察した。
ちなみに、私は打ちはじめてスグ、強チャンス目から武将決闘に突入。
同チャンスゾーン中は成立役によって戦況が変化し、通常リプレイなら敵の攻撃(ただし、回避や防御の可能性もアリ)、一方、小役や斬撃リプレイなら味方の攻撃となり、また、そうした役を連続で引くことができればチャンスアップとなる。レア役を引かずとも期待できるこのシステムは、「ここでアレをひかなきゃダメ」みたいな風潮に嫌気がさしている私としては、だいぶ頷ける部分だ。
※武将決闘では任意で選択したキャラクターによって攻撃力・回避力・防御力が変化。私はとりあえず、最初なのでバランス型の秀吉を選びました。
この武将決闘を難なくモノし、めでたくAT「覇王チャンス」突入となった次第なのだが、この出玉増加の根幹を成すATは1セット30Gとなっており、予め決定されたループ率を参照して継続抽選が行われる。
加えて、AT中は「レア役成立時にG数上乗せ抽選が行われる」ほか、「継続期待値をアップさせるアイテムの獲得」という要素も盛り込まれている
※要するに、継続バトル時にそのアイテムを使用することで戦況が有利に傾く、と。
また、AT中の特筆すべき点としてはレア役を機に突入する「覚醒」が挙げられる。いかにも何か起きそうなネーミングだが、覚醒突入時は５G間、高確率でボーナス(疑似ボーナス)抽選が行われる。
※覚醒突入時のボーナス期待度は50％
さらにボーナスには連続性があり、終了時に発展する武将決闘で勝利すればボーナスの１G連が発生。ボーナス中はボーナス中でレア役によるG数上乗せ抽選が行われるので、ボーナスは出玉増加だけでなしにその後の展開を明るくするキッカケにもなり得る、と。
ざっくり説明するとそんな感じなのだが、うちはじめて約2時間にして、そうした脂っこいところをこれでもかというほどに頂戴し、さらにはフリーズ→スーパーBIGなんていう離れ業まで達成。結果、消化しきるまでに向こう2年はかかるんじゃないかというくらいATを上乗せして実戦は終了となった。
総じて、私ウシオの「パチスロ戦国嵐」に対する評価は95点。
残りの5点は、通常時をほとんど消化できなかったため、そこがどうか分からない。というのとあと２つ。
決算時の納税額と、レバーを叩くたびに揺れる隣の店長のおっぱいが気になるあまり何か見落としたんじゃないかという懸念があること。
ソレを除けば完璧だったのではないか、と。