クルーズトレインと呼ばれる列車がある。ななつ星 in 九州・TRAIN SUITE

 四季島・TWILIGHTEXPRESS 瑞風が代表格だろう。新しい寝台列車と紹介される

のを見たことがあるが、実態は1泊2日から3泊4日のツアーである。かつての

ブルートレインなど移動手段としての寝台列車とは全く異なる。

 

 豪華さがウリなので料金は非常に高い。JR東日本が運行する四季島の、この冬の

コースを見てみた。1泊2日で鹿島神宮・佐原と小田原を巡るコース(車中泊)の

場合、最も安い部屋で42万円となっている。2泊3日で遠野と弘前と松島を巡る

コース(車中2泊)もあり、65万円から。

 

 乗客はどんな人たちなのだろう。富裕層なのは当然として、定年退職や結婚〇周年

などの記念に乗車するのだろうか。室内も食事も豪華で、丁重なおもてなしをして

貰えるのだろう。憧れる人は多いのかもしれない。

 

 私自身は、こんな高額な費用は到底支払えないけれど、仮に費用を度外視したと

しても特に乗りたいとは感じないのである。旅行好きにあるまじき意見かも知れない

が、僻みでなくそう思う。

 豪華さを別にすれば観光バスツアーと同様全て相手任せで、与えてもらうばかりの

お客様待遇。こういうのは正直性に合わない。自分なりのプランを組み立て、手配

する。現地では気まぐれに途中下車したり、気分次第で予定を変更したり。がっかり

したり失敗したりする事もあるけれど、それも含めて旅の醍醐味だと思う。

 

 今は一人旅ばかりだけれど昔は友人のグループで旅行した事もあった。しかし

そんな時はどうしても不満が残ってしまうのだった。

 私は旅先だからと言って毎食良いものを食べようとは思っていない。場合により

ハンバーガーや牛丼なども食べるし、時間が無ければパンをかじって済ませる事も

ある。夜の繁華街に繰り出すのは苦手だし面倒でもある。デパ地下やスーパーで

買ったいつもよりちょっと良い弁当、あるいは駅弁、そしてその土地の地酒があれば

充分満足できる。

 皆でワイワイ観光したり夕食時に盛り上がったり、それを楽しいと思う気持ちは

ある。しかし楽しいと同時に気疲れを感じる部分もある。だから夜は一人でホッと

する時間が欲しい。そのため大部屋ではなくシングルに泊まりたい。そんな気持ちを

理解してくれる人は少ないのである。

 

 当時の友人とは徐々に疎遠になり、今は一緒に旅行に行くほどに仲の良い友人は

居なくなった。それでもこと旅行に関しては特に不便や寂しさは感じていない私

である。