翌朝。ホテルの朝食を済ませてチェックアウト。
今日は夜行列車でローマに戻る予定である。但し、ベネチア発の時間が遅い。
この列車はトリエステが始発で、2時間程かけてベネチアに着く。そこでローカル
列車でトリエステまで行って乗車しようと思う。夜行列車というのは始発駅から
乗車したいものである。ベネチア・サンタルチア駅からトリエステ行きに乗る
までの時間を使ってムラーノ島に行く事にする。
ムラーノ島はヴァポレット(水上バス)で20分程の所にあるベネチアングラスで
有名な島である。本島と異なり観光客が少なめで落ち着いていた。通りで見かけた
ガラスの店に入ってみる。きれいな器などが並んでいる。しかし価格は高いし持ち
帰るのに気を遣うので、迷った末にガラスの置物を一つ買った。本島の土産物店は
見るからに安っぽい置物が並んでいたが、こちらは同一の製品でも微妙に形状が
違っていて手作りと分かった。
暫く島内を散策して本島に戻り、ヴァポレットを乗り継いで駅に向かった。
ベネチア発15時41分の列車で、17時46分トリエステ着。
すでに暗くなり、歴史のありそうな駅舎が街灯に照らされていた。周辺を歩いて
みるとこれまた古めかしい路面電車が発着しているのが見えた。ちょっと乗って
みたい気がしたが、どこに向かう路線なのか分からないし運行頻度も不明であり、
万が一にも夜行列車に乗り遅れては大変なので諦めるしかない。
夜行列車の準備が整うのを待って乗車する。座席車の車内はこんな感じ。JRの
B寝台車のように窓に沿って通路があり、6人部屋が並んでいる。室内は3人づつ
向かい合わせになっている。私の席は幸運なことに前向きの窓側だった。
乗り物の座席にはこだわる性分である。一般的な4人掛けボックスシートでは
極力進行方向窓側に座りたい。特急列車では車内の一番前の席は目の前が壁なので
避ける。夜行バスはB席を避ける(3列独立シートの場合)。だから指定席に乗る
場合は早め早めに買いに行く様にしている。仮に東海道新幹線に乗るとして、B席
しか空いてなかったら列車を変えてでも窓側・できればE席を探すだろう。
トリエステを発車した時点では1室貸切状態だった。途中でちらほら乗車があり
やがてベネチアで大勢が乗り込んで空席がふさがった。
ベネチアを発車してしばらく、各々携帯をいじったり本を読んだりしていたが、
やがてそれぞれ寝る態勢になった。しかし往路と異なり誰も明かりを消そうとしな
かった。明るいと寝にくいので思い切って May I turn off the light ? と言って
みたら賛成してくれたのでスイッチを切った。これでよく眠れそうだ。ローマに
着いたらバチカンに行く予定である。