先日、都営浅草線に乗って西馬込に行った。

 

 泉岳寺で乗り換えた西馬込行はもう絶滅したと思っていた5300形だった。

音はうるさいしスタイルもあまり好きではない車両だが、これで最後だと思うと

ちょっと名残惜しい気もする。

 

 西馬込はほかの路線と接続していない、行き止まりの終着駅だ。

こういう駅は東京の地下鉄では、他に方南町、北綾瀬、西高島平、光が丘の

4つがある。

 

 今日の目的は馬込文士村である。

駅から10分足らずの所にある大田区立郷土博物館の展示が詳しい。

 

 馬込文士村というのは大正末期から昭和初期にかけて多くの文士(作家)や

画家たちが馬込界隈に集まって暮らしていた事を指す。

 尾崎史郎・宇野千代夫妻が中心になって文士たちを誘い、近所に住み、

行き来して、文学談義のみならずマージャンやダンスなどで盛り上がったりして

いたらしい。

 伊藤深水、川瀬巴水、川端康成、川端龍子、北原白秋、萩原朔太郎、村岡花子、

室生犀星などそうそうたる顔ぶれである。

 博物館には馬込文士村に関する常設展示があり原稿や愛用の品などが観られる。

ほかにも縄文・弥生・古墳時代の遺跡に関する展示もあり、今日はたまたま昔の

風景の写真展も開催されていて、結構見ごたえがある。これで入館無料なのは

有難い。

 馬込文士村散策マップ(100円)というのがあったので購入した。

 

 駅に戻る前に周辺をぐるりと歩いてみると、起伏に富み坂道が多いのに気付く。

今はごく普通の住宅街だが、文士村の時代は程よく便利で程よく長閑な風景が

広がっていたのだろうと想像する。

 

 またの機会に、池上本門寺や池上梅園などと兼ねて散策マップを手に再訪する

のも一興だと思う。

 

 今年の旅(日帰り含む)はこれで終わりである。

来年が、コロナに翻弄されない、災害の無い年であるよう、そして少しでも旅を

楽しむ余裕が戻ってくるように願っている。