(SECTION OF NUCLEAR STRATEGY)

後瀉桂太郎
「PLA(中国人民解放軍)核戦力の現状-ロシア『ディエスカレーション戦略』との比較」
https://bit.ly/3Rdkt4S
accessed on June 9, 2024.


▽キャッチーなタイトルにするなら、「中国の核をこわがらなくていい、これだけの理由」くらいになろう。中国の核兵器は最初から「保有目的」であり、当面はこの方針が続くに違いないと書かれている。

▽注4 で示される「戦略核」の説明に胸をなでおろした。不正確な定義が蔓延してわたしは気持ちが悪かった。しかし、冷戦時代の用法を守り抜く必要はない。とはいえ共通言語にはルールが求められる。出力の大きい核兵器を示す新しい用語がほしいところ。「大型核(兵器)」?

▽ロシアは、「核兵器を使うつもりもないのに」、核の先行使用を常套句にする。はたしてどのくらいうそ(脅し)なのだろうか。誰にもわからないとされているし、ひょっとしたらあの男はやりかねないので、世界はますます不安になる。それが彼の手腕であり、権力たらしめているのだが、核兵器は彼の所有物にあらざるなり。国家元首や国防大臣が好きなタイミングでスイッチを押せるシステムでなければ、核でウクライナの主要都市を殲滅させて即時勝利というわけでもない。

▽ロシアによる核の恫喝を話題にせねば見向きもされない核戦略レポートのいま。中国の核政策はロシアのそれと性格が違う。増強すれども核の存在は控えめ。今後も通常戦力による抑止を基幹とする。さしあたってその解釈でよい。