長新太作『ナンジャコリャ童話館』シリーズについて調べてみました。 | うしじまひろこの絵本ダナ

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理論社のようねんどうわナンジャコリャ童話館シリーズ

左:『へんてこどうぶつ日記』1989年3月初版

中:『ノンビリすいぞくかん』1996年2月ようねんどうわ版初版

右:『ボンヤリどうぶつえん』1996年2月初版

 

これらの3作品について、同じタイトルなのに表紙絵が違うなぁとか、大きさも違う、

文庫版もある……と疑問に思うことがあり、今回調べてみました。

 

 

 

まずは、『へんてこどうぶつ日記』。

左:ようねんどうわ版 1989年3月初版

右:フォア文庫版 1994年6月初版

 

1989年当初は、ナンジャコリャ童話館シリーズという名称は付いていなかった

ようですね。1996年に表紙絵が変わり、フォア文庫の中の1冊として発売。

 

フォア文庫とは、岩崎書店・金の星社・童心社・理論社が協力出版している

1979年創刊の児童書ブランドです。

各出版社の特色や個性を生かしながら、出版する本について協議し、出版を決定。

作品は統一のブランド名を用いつつ、各社からそれぞれから発売されています。

 

 

 

次に、『ノンビリすいぞくかん』。

左:どうわの森のおくりものシリーズ 1979年2月初版

中:フォア文庫版 1993年7月初版

右:ようねんどうわ版 1996年2月初版

 

1979年出版の『ノンビリすいぞくかん』は、縦23×横18.5㎝とサイズが少し大きい

です。1993年文庫版出版の際に表紙絵が変わり、その後、表紙絵はそのままで、

上製本が1996年に理論社のようねんどうわナンジャコリャ童話館シリーズとして出版

されています。1979年から約45年間、今でも愛読されている作品ですね。

 

 

 

最後に、『ボンヤリどうぶつえん』。

こちらは、1996年2月初版のままです。文庫になることもなく、リニューアルもなかった

ようです。

 

1996年2月、『ノンビリすいぞくかん』ようねんどうわ版と『ボンヤリどうぶつえん』が

出版された際に、『へんてこどうぶつ日記』も加えて理論社のようねんどうわナンジャ

コリャ童話館というシリーズになったようです。

現在、理論社のホームページには、『へんてこどうぶつ日記』と『ボンヤリどうぶつえん』

の掲載はなく、ようねんどうわ版の『ノンビリすいぞくかん』のみ見ることができます。

 

 

 

3作品の出版が早い順に左からに並べてみました。

 

『ノンビリすいぞくかん』では、海の生き物たちが水族館を抜け出して街へさんぽに。

街ではナンジャコリャなことばかり起こります。

 

『へんてこどうぶつ日記』では、動物たちの切ない体験、なんだかコワイ体験、不思議な

体験などが日記形式でつづられています。動物たちも大変な毎日を送っているようです。

 

『ボンヤリどうぶつえん』では、動物園の動物たちが旅へ出たり、街へ出たり。やっぱり

ナンジャコリャなことが起こるのだけど、なんだかほんわりあたたかさが。

 

長新太さんの動物への愛、温もりが感じられるナンジャコリャ童話館シリーズ3作品です。