3年ぶりです。このユーザ・イノベーション書くのは。

日経ビジネスの5月24日 第2特集記事「4億人が遊ぶ最強玩具レゴ」で、久しぶりにMITのヒッペル教授の名前が・・・。(記事ではMITのエリック・ホンヒッペル教授、ってなってましたが)

記事は最後の方までユーザ・イノベーション、、って言葉は出て来ず、てっきり「レゴ」企業特集かと。

 ① 専用のソフトをダウンロードすれば、自分でレゴブロックをデザイン、注文すれば製品が自宅に届く。(「デザイン・バイ・ミー」サービス)

 ② さらに発展させて、将来は、ユーザが好きなレゴをパソコン上で組み立て、ネットで公開。これを購入したいと思うユーザが一定数集まれば、レゴとして商品化、パッケージ化してロット生産する。


①と②は似てる気がしますが、②は、ユーザが「レゴブランド」のパッケージを作れる、というある意味、モチベーションUP、無形の報償感が得られるところが違いますよね。
企業と個人の関係は究極そういった関係に至るのかもしれません。


記事では、アップルのiTunes(iPod)だって、既存の半製品の組み合わせカスタマイズだけで、音楽配信の覇権を奪ってしまった、、コモディティ商品の行く末は、こういった「どうたくみに組み合わせるか」につきるようになるんだろう、それが「ユーザ・イノベーション」、、なんて論調でしたが。

確かに、技術ちっくに考えずとも、ある程度(それこそレゴのブロックのように)汎用に行き着いた商品カテゴリーのものは、こういう形のユーザイノベーションもありかと。

そこまで行き着くなら・・・、いっそソフトウェアもそろそろ「レゴ」っぽくパーツの組み合わせで作れるようにしてしまうのはどうなんでしょうかね。

最近のiPod, iPad人気、アプリの軽さ(良い意味でも悪い意味でも。重厚なつくりではない、という意味での軽さですよ)をみるにつけ、その程度のソフトなら、パーツ化して出来る気がします。
あんなアプリの制作のためにObjective C++開発環境を(無償とはいえ)使う羽目になるのは、ちょっとそれこそ「ユーザ・イノベーション」を阻害してません?ジョブスさん。
でも、これはアップルのLISA、Macの開発環境もそうだったから、変ってない、ってことですよね。さぁ今後どうなるか。

※ これは個人の勝手な意見ですので、関係者の方々、気にしないで(笑)。一応断り書き書いときます。。。

今朝の日経1面に久しぶりにユーザーイノベーションのことが書いてありました。(このブログ更新も久しぶりです・・・)

『成長を考える』という連載コラムの中、次のようなキーワードでの記事でした。


   * プロシューマ台頭

   * お客様は秘密兵器


MIT ヒッペル教授が消費者が主体となって起こす革命をユーザーイノベーションと名付け、「あらゆる製品分野に(この流れは)波及し、商品開発や市場調査に影響を与える」、アルビントフラーが四半世紀前に提唱した『プロシューマ』の概念が現実化しつつある、と。


無印良品さんが学生さんのアイディアで商品化(私もこのフセン買うと思います。。)、JTBの宿泊プラン、P&G・大塚製薬さんの共同開設HP「ウーママ」など結構事例は出てきてるようですね、日本でも。

ただ、これだとSNSの延長、ちょっとしたイベント企画、ニッチの吸い上げ、と今までとは劇的には変わっていない気もします。もっと確立した一市場にしたいですねぇ。



最後に紹介されていた米ナインシグマ(Nine Sigma)は面白そうですね。


”「突然のメールをお許し下さい。弊社の顧客である大手企業が以下のような課題の解決策を募集しています」・・・こんな電子メールを日々何万通と送る。顧客企業の依頼を受け、自社でリストアップしている世界中の研究者に「お知恵拝借」を呼びかける。発明に結びつけば特許は企業と研究者が共同で申請する。日本でも顧客企業は三十社余り。・・・”

日本では日本総研さんと立ち上げられたようです。


どの程度確率を上げられるか、ですね。

  * メールだけを数打てば当る式でよい? 

  * 守秘義務はどこまで守るべき?

  * どれだけ優秀な「お知恵拝借」先を確保できる?


各企業内では、掲示板、コミュニティー、社内ブログSNSなど色々試行錯誤しているはずです。

こことインダイレクトに、上手く(システム的に)連携できれば、面白いと思います。

社内ブログ構築をビジネスにしている企業さんは狙いどころでは?(広告より法人向けには良いビジネスモデルのような気がします)


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今週末配本の日経ビジネスはGoogle特集。
今回のは面白かったですねぇ。
久しぶりに一気に読んでしまいました。面白い。

やはり西海岸文化って良いですね。懐かしいサンノゼ等の街並み写真を記事で見ると嬉しくなっちゃいます。
確かに何かを変えてくれそうな街です。いやGoogleも変えてくれそうですね。

*古めかしい巨大なソフト会社がデザインから開発まで一手に引き受けてソフトを作る時代は終わり。

*主権はソフト会社からユーザーに移った。

いくらなんでもパッケージソフトが無くなるとは思いませんし、どこまで無償で出来るものか。

ある部分はWebサービス型、しかも無料利用+広告モデルになってゆくんでしょう。映画とTVの棲み分けに近いかもしれません。


ただ、ビックリしたのは、買収したグーグルアース技術は日系米国人の方が開発したものだったんですね。

嬉しいエピソードです。Google-APIでいろんなサービスをユーザ主導で作って見ましょうか。

そんな気にちょっとなりました。

Google誕生
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株式会社 ビーケーワン
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Google Maps API徹底活用ガイド
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株式会社 ビーケーワン

今朝の日経の東大教授 西垣さんの論説、読まれました?

* ウェブ2.0とは、ある意味で80年代に流行した人工知能の新バージョン

* 大きな単体コンピュータの替わりにウェブを使うだけのこと

* いかにすれば量が質に転嫁するのか?情報技術研究者はふたたびこの難問と向き合うことになる。

なるほど。面白い見方。言われてみればそうなのかも。


”多量の断片的知識を自動検索し、いろいろな質問に瞬時に答えてくれる技術は確かに魅力的だが、それが現実の問題解決を約束するわけではない”とも。AI研究が行き詰まったのもここですよね。

でも当時日本はICOTの第5世代コンピュータプロジェクトなどでPrologを使って知識をDB化することに一瞬でしたけど独自性出してました。途中からなんとなくハード論争になったのが残念だった気が。

きっかけは、MITヒッペル教授論文を読んだことからです。


2006年1月27日 日本経済新聞朝刊27面に Eric Von Hippel MIT教授の以下の論文が出ていました。


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『イノベーションの民主化』


▽「イノベーションが民主化しつつある」。これは生産財であれ消費財であれ、ユーザ自身がイノベーションを手がけるようになってきた。この変化は製造業にとっては重大な脅威だ。←これって、逆にチャンスなんじゃないでしょうか?私はそう思います。


▽様々な市場調査手法を使って「顧客の声に耳を傾ける」のは、ユーザ主体の「ユーザ・イノベーション」とは異なる。彼らは自分の欲しいモノを自分で発明し作り上げる。メーカーはこうした状況を理解しなければならない。そうすれば、(メーカー自身も)ユーザのニーズを知り、ターゲット層向けの新製品を開発する為の時間と資金を大幅に減らせる。


▽ユーザ主体のイノベーションに向かう流れは加速している。コンピュータ技術の進歩を背景に「ユーザ・イノベーションの為の道具」が登場しており、これを使えば多くのユーザが自分に必要なものを容易に開発できるようになった。例えば専門的な訓練を殆ど受けていなくても、自分のニーズにぴったり一致する高品質のICを作ることが可能だ。


▽数年前にはICメーカーの専門技術者でなければ特注仕様のICを設計することなどできず、しかも数万から数十万ドルのコストが掛かった。だが今では、個人でもIC設計ソフトをダウンロードするだけで、高性能のICをわずか50ドル程度で設計できる。ユーザによって設計されたICが毎年数十億ドルも生産されている。←この実際のところの話を是非このブログで皆さんと集めたいですよネっ!


▽ICメーカーの従来のやり方は、まず顧客の声を聞き、次に顧客が欲しがりそうな製品を設計することだった。だが今では設計ツールを顧客に提供し、創造性豊かなユーザが自分のために設計した製品を製造する。←この辺はユーザ=個人とみると視点が異なってしまうかもしれませんね。ここではユーザは小売あるいはブランドを持つファブレスメーカー、ICメーカーは専業EMCと見れば良い気がします


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これを読んで、なにかインターネットが広まり始めた93年ごろの感動、興奮を思い出しました。

あと、パソコン、パソコンソフト(BASIC)が登場したくらいのインパクトがあるような。パーソナルなメーカーが出現したってことでしょう、これって。何か世の中がガラッと変わってしまうくらいのインパクトがあるような気が。。。皆さんはどう思われます?


ちなみにこの人の論文では、この後、事例としてレゴブロックの会社がコミュニティを作ったという話も出てくるのですが、そうなると、草の根ネットとかNPO的な話題に近くなってしまうので、ちょっと、その部分はピンと来ませんでしたが。。。。