【竜王戦について勝手に考える①】総論

「名人」を別格として、初のタイトルとして誕生した「九段」を源流とし、1987年に名人と並ぶあるいは超えるタイトルとして創設された「竜王」。
獲得までに長い年数を必要とする名人に対し、竜王は誰でもその年に獲得の可能性があることから、その時点の、「真の最強者」を意図したタイトルであると言っていいだろう。

ただ一方で、予選・本戦ともにすべてトーナメント戦であり、一度の敗戦で挑戦の道が断たれる点(※1)、真の最強者決定戦と呼ぶには選考過程に紛れが大きいのは否めず、これが竜王というタイトルそのものの存在意義、特に名人以外の他のタイトルとの差別化という点に影響していると言わざるを得ない。(挑戦者決定方式から見ると、「王将戦」の方がより紛れのない、最強棋戦と呼ぶにふさわしいタイトルになっている)


ここでは、「真の最強者」としての竜王、その挑戦者決定方式について、勝手に改革案を考えてみる。

 

※1 ランキング1組は二度目の敗戦で敗退



【竜王戦について勝手に考える②】本戦編

まずは本戦から。
現在は、勝ち抜いてきた各ランキング組の「格」に応じた不平等なトーナメントになっている。
その意図は理解できなくもないが、それぞれの組で最優秀の成績を収めてきた棋士を公平に見ることこそ、名人戦とは異なる、竜王戦の意義ではないかと考える。従って

・真の強者を決めるという観点から、本戦は11名の「総当りリーグ戦」方式とする
・全10戦で勝数トップの者が竜王挑戦者となる
・勝数トップが複数名の場合はトーナメント方式のプレーオフを実施
・成績上位者のリーグ残留の制度は無し

以上の方式とする。


【竜王戦について勝手に考える③】ランキング戦編

続いてランキング戦について。
結論から言うと、紛れが多いランキング戦は廃止する。
本戦出場者11名は、ランキング戦に変わって以下の方法で決定する。

・名人、および順位戦A級1~4位(5名)

  ⇒ 現1組に相当
・順位戦B級1組の1~2位(2名)

  ⇒ 現2組に相当
・順位戦B2、C1、C2の各1位(3名)

  ⇒ 現3~5組に相当
・予選リーグ優勝者(1名)

  ⇒ 現6組に相当

※成績は前年度末時点。竜王在位者を除いた成績で適用

出場者の構成を現行に近付けつつ、順位戦各組で最優秀の成績を挙げた棋士たちが選抜されることで、実力に紛れのない、かつ勢いのある棋士たちの戦いとなる。
このため、前年度竜王戦の敗者は、仮に前竜王であったとしても、上記の条件を満たせなければ出場できないことになる。

一方、順位戦を戦っていない名人を出場者に入れているのは、最高位への敬意のほか、源流の棋戦「九段戦」が、そもそも名人と対決して日本一を決する棋戦であったという伝統を引き継ぎたい趣旨である。



【竜王戦について勝手に考える④】予選リーグ編

続いてランキング戦6組の後継となる、予選リーグについて。
現行のランキング戦全般の役割は順位戦が兼ねることになるため、紛れのない最強者を決めるという観点で考えると、①順位戦で最優秀の成績ながら順位頭ハネされた者、②順位戦の対戦運に左右された可能性がある上位者、③そもそも順位戦に参加していない実力者、これらの中から代表を選抜するのが適切である。従って、以下に該当する者による、総当りリーグ戦にて本戦出場者1名を決定する。

・順位戦B1で、1位と同成績ながら3位以下となった者。該当ある場合のみ
・順位戦B2、C1、C2の各組2位、および同成績のもの全員。最低3名
・フリークラスで、前年度の全棋士参加棋戦に優勝した者。該当ある場合のみ
・前年度の三段リーグ1位。前期1、後期1で2名
・女流棋士1名。女流王座
・アマチュア棋士1名。当年度のアマ竜王、支部名人のいずれか

予選とはいえ、最強者たる可能性がある棋士を1名選抜するためには、紛れの大きいトーナメントではなく総当りリーグ戦が必要となる。
このため、女流棋士枠、アマチュア枠については現行より人数を絞り込む必要が出てくるのはやむを得ないだろう。

B2、C1、C2各組について各2位および同成績者を出場可能にするのは、これらのリーグが総当り戦ではないことを考慮したものである。

また女流棋士枠1名を「女流王座」としたのは、この棋戦がキャリアを問わず女性棋士が幅広く参加できる棋戦であることによる。



【竜王戦について勝手に考える⑤】挑戦者決定方式まとめ

ここまでの方式をまとめると以下となる。

(カッコ内は人数)

・名人 ◎本戦リーグ(1)
・A級

 1~4位 ◎本戦リーグ(4)
 5位以下 ×
・B級1組

 1~2位 ◎本戦リーグ(2)
 1位と同率 △予選リーグから(?)
 それ以下 ×
・B級2組

 1位 ◎本戦リーグ(1)
 2位 △予選リーグから(1)
 2位と同率 △予選リーグから(?)

 それ以下 ×
・C級1組

 1位 ◎本戦リーグ(1)
 2位 △予選リーグから(1)

 2位と同率 △予選リーグから(?)

 それ以下 ×

・C級2組

 1位 ◎本戦リーグ(1)

 2位 △予選リーグから(1)

 2位と同率 △予選リーグから(?)

 それ以下 ×

・フリークラス

 棋戦優勝 △予選リーグから(?)
 それ以外 ×
・三段リーグ

 1位 △予選リーグから(2)

 2位以下 ×
・女性棋士

 女流王座 △予選リーグから(1)

 女流王座以外 ×
・アマチュア

 アマ竜王か支部名人 △予選リーグから(1)
 それ以外 ×

以上の通り、出場者を成績最優秀者および準じる者に限定しながら、その上でプロ棋士はもちろん、ほぼすべての棋士に挑戦の道がある仕組みである。



【竜王戦について勝手に考える⑥】まとめ

この方式にて、各カテゴリーの紛れのない最優秀者が紛れのないリーグ戦を戦い、その結果決定する竜王挑戦者は、名実ともに「最強の挑戦者」であると言える。

このことは、名人とは異なる、「真の最強者」としての竜王の存在意義を明確にし、その権威・価値を高めずにはおかないだろう。

 

 

 

 

【参考例】2021年度に適用の場合

<竜王>

 ・豊島竜王(A-2位)

 

<本戦リーグ出場者>
 ・渡辺名人(名人)
 ・斎藤慎八段(A-1位)
 ・広瀬八段(A-3位)
 ・糸谷八段(A-4位)
 ・菅井八段(A-5位)
 ・永瀬王座(B1-1位)
 ・山崎八段(B1-2位)
 ・藤井聡二冠(B2-1位)
 ・高崎七段(C1-1位)
 ・黒田五段(C2-1位)
 ・(予選リーグ1位)

<予選リーグ出場者>
 ・佐々木勇七段(B2-2位)
 ・増田康六段(C1-2位)
 ・出口五段(C2-2位)
 ・伊藤匠四段(3L-前1位)
 ・井田四段(3L-後1位)
 ・西山女流三冠(女流王座)
 ・(アマ代表)