ぶっちゃけ言いますと、ブログのネタが尽きました。

なので、ちょっと無理矢理なのですが、Windows 10のトラブルシューティング事例をご紹介します。

問い合わせ内容:
BIOSで、ある設定を「Enabled」にしているが、Windows 10を起動するとその機能が無効になってしまい、BIOS設定を再確認すると「Disabled」に戻っている。

つまり、Windowsが起動する時に、何らかのサービスがBIOSの設定を規定値に戻してしまう、という現象です。

関連するのは、PCに固有の(Windows標準ではない)ドライバーセットユーティリティです。

ユーティリティがインストールされている場合、それに含まれるサービスがBIOSの設定を規定値に戻してしまうことは知っていました。

でも、ユーザーの環境では、ユーティリティはインストールしておらず、Windows 10をクリーンインストールして、ドライバーセットの方だけをインストールしている、というのです。

じゃあ、ドライバーセットの方に含まれるサービスがそのBIOSの設定を規定値に戻してしまうことがあるのか?という可能性は考えました。

こういう場合、まずは、その現象を再現させてみることが重要です。

手元のPCにWindows 10をクリーンインストールして、ユーザーと同じバージョンのドライバーセットをインストールしてみました。

でも、結果、現象は非再現です。

機種が違うからなのか?BIOSのバージョンが影響しているのか?と考えました。

ここで、運悪くというべきか運良くというべきか、ノイズになる情報が入ります。

私自身が仕事で使っているPCでも同じ現象が発生することが判ったのです。

ここでOSをクリーンインストールして環境をいちから構築しなおすことが出来れば、どこが現象発生条件になっているかを特定するのは比較的簡単なのですが、仕事で使っているので、そうする訳にも行きません。

もう1台別の機種でクリーンインストールから試してみても、やはり現象非再現です。

こうなると、同じ条件でも現象が再現する機種と再現しない機種があるとしか思えません。

いやまてよ。

でも私は、現象の再現状態をいちから構築することは一度も出来ていません。

ユーザーの環境で再現しているものと、会社で配布されたPCで再現しているだけです。

もしかすると、SW環境が違うのかも知れない、と思い始めていたころに新しい情報が入手出来ました。

BIOSの設定を規定値に戻してしまう可能性のあるサービスが判ったのです。

もう少し具体的に言うと、デバイスマネージャーで見える、あるデバイスのドライバーバージョンが新しくないと、この現象が発生し得ることが判りました。

 

ドライバーのバージョンは、例えば、以下のようにデバイスマネージャーでデバイスのプロパティを表示し、「ドライバー」タブを選択することで確認できるバージョンです。

 

 

これは、グラフィックドライバーの例ですが、他にもこのような方法でドライバーのバージョンを確認したことがある方もいらっしゃるでしょう。

そして、今回該当のデバイスのドライバーは、上述のドライバーセットによってインストールされるドライバーのひとつでした。

Windows 10をクリーンインストールした場合、通常デバイスマネージャーには「不明なデバイス」など、いくつかのデバイスにビックリマークが付いて残ります。

 



ここで、PCをインターネットに接続した状態にしておくと、自動的にWindows Update経由で必要なドライバー類がダウンロードされ、デバイスマネージャーは綺麗な状態になります。

一方、インターネットには接続せずに、必要なドライバー類をひとつひとつ手動でインストールして、綺麗にしていく方法もあります。

私は、後者の手順は面倒なので、いつも前者の方法をとっていました。

勿論、厳密にはSW環境が異なることは判っています。

でも、対象のドライバーセットは、デバイスマネージャーが綺麗になった後にインストールし直していたので、それで同等の環境条件になるものと思い込んでいたのです。

結果的に、Windows Update経由で適用される、該当のデバイスのドライバーは、ドライバーセットに含まれるドライバーよりもバージョンが新しく、ドライバーセットをインストールしても上書きされませんでした。

そして逆に、ドライバーセットをインストールしてからWindows Updateをしても、該当のデバイスのドライバーは上書きされませんでした。

つまり、
・ドライバーセットを手動でインストールする
・Windows Update経由でドライバー類を適用する

この2つの順番が入れ替わると、該当のデバイスのドライバーのバージョンが変わってしまっていたのです。

結果だけ聞けば単純な話で、「特定のデバイスのドライバーのバージョンの違いによって動作が変わっていた」というだけなのですが、これを特定するには結構苦戦しました。

 

在宅勤務で思うように実機がいじれなかったせいもありますが、結果的に、調査を開始してから要因を特定するまでに1週間程度を要してしまいました。

 

ドライバーセットのインストールによってビックリマークが消えるデバイスがどれとどれかを正確に把握していれば、半分くらいには短縮できたと思いますが、さすがに私もそのレベルで全てのことを理解しておくのは困難です。

 

でも、この経験で、視野を広げて可能性を考えることの重要性を再認識しました。


トラブルシューティングは、いろんなアプローチがあるから面白いのです。

 

次回は、もう少し最短コースを辿れるようにしたいものです。