5月12日月曜日。
月は登り、始まりの時。
アタイにはフチ子が必要だ。

漸くたどり着いたマンデリンだけど、
アタイだけが幸せになるなんてない。

フチ子をとるか、マンデリンをとるか。
そんなのフチ子をとるに決まってる。

可愛いフチ子。大好きなフチ子。
どれだけ苦い想いをしても、苦い涙を流しても、
これからはこのアタイがいつも嵐吹く時の中にいるフチ子を守っていく。
相当な覚悟が必要である。
でもアタイは信じる。
自分の目に狂いはなかったんだと。
とりあえず、
アタイの時間は、フチ子との偶然の出逢いで、
漸く、遅まきながら、流れ始めたのだった。
アタイの夢を叶えてくれたフチ子。
最早感謝しかない。
これからは決して一人きりでは出来なかった事をフチ子と一緒にしてゆくんだ。
フチ子、覚悟しとけよ。
一緒に色んなとこ行って、同じもの見て、触れて、食べて、飲もう。
フチ子には参りました。
と、いきなり聞こえてしまう。
声の主は何処の誰だか、何故このタイミングだったのかも解らないけれど、
そんな事一度は言われてみたい。
ちょっと羨ましいなぁ。
とりあえずアタイはアタイで聞こえた声を筆紙に尽くしたのだった。
完
(書く女シリーズ)
(フチ子シリーズ)
(珈琲女シリーズ)