5月10日土曜日
時刻は間も無く10時を迎える。
目覚めて5時間がたったけれど、変わらず雨が降っている。
恵みの雨。
やまない雨はない。等と、人々は口にし、
良く聞くけれど、

雨が降ろうが槍が降ろうが、
普通に天気が悪い。
頭隠して尻隠しても、
雨晴れて笠を忘れてはならない、深く反省しろ。とも普通に思う。
玩具のように扱い、捨てたんだから。
本当に胸糞悪い。

今日は雨。予想通りに雨。
しかし普通ってなんだ?
予想通りが普通なのか?
何が悪くて、何がよいのか?
とりあえずそれすらも解らないから私も、
皆と同じ様に傘をさす。
でもアタイにはその傘がない。

傘が欲しい。
優しさが欲しい。
温もりが欲しい。
とりあえず欲しい欲しい。
人間の欲は本当にきりがないらしい。
玩具で良かった。

これあげる。でも珈琲はあげないと、
あの時聞こえていた。
田端の空の下であの時聞こえた声を、
今更ながら筆紙に尽くしたのだった。
完
(書く女シリーズ)
(フチ子シリーズ)
(珈琲女シリーズ)