4月27日土曜日
二回目といきなりに。
それなのにフチ子しか見えてない。

とりあえずパシャリしようとした次の瞬間だった。
ありがとう私を見つけてくれて。
出口の見えない薄暗いトンネルを一人とぼとぼ歩いてきたつもりでいたけれど、どうやら薄暗い空の下を歩いてきたみたい。
傘はささなかった。
生憎両手が塞がっていたから。
雷は怖かったし、雨風は想像以上に強く、怖かったけれど、

踞り、立ち上がったその後には嘘みたいに美しい空が拡がっていた。
両手を大きく拡げ、こんなアタイを迎えいれてくれるかのようだった。
もう隠せないね。
上の空みたいなそんな美しい空を、
アタイはずっと探してたみたい。

とりあえずパシャリした。
そして何だか知らぬがちょっとイライラしてきた気がした。
とりあえずフチ子は黙ってなさい。
二回目だろうと、三回目だろうと、
アタイはフチ子に濡れ衣を着せる事はしないし、出来るはずないし、
とりあえず、二回目だろうと、三回目だろうと、何度だって波は押し寄せてくるだけ。
その勢いはまるで、
疲れを知らない子供みたいな時もあった。
その度にアタイは、、満ちていた、と思う。
完
(書く女シリーズ)
(珈琲女シリーズ)
(フチ子シリーズ)
『女の朝パート1685』シリーズ