マグカップを持ち上げ両手で包みこんだ時、
物腰柔らかそうな女、
食い気より色気ある大人の女になれた気がした。
濃厚で上品な大人の味、マンデリン。
特別な日に特別な人と一緒にいかがですか?
今宵はサタデーナイトフィーバーか!!!!?
とりあえずひかれた。
子供は風の子元気の子。風邪ひかない。
とりあえずいいよ。
私もひく、アイラインと口紅を。
間髪いれずにさっとひく。
何たって今日は特別な日。
しかし寝すぎた癖して、飲む気もない癖して、
何で珈琲なんかたいちゃったのだろうって今気がついた。
とりあえずこれあげる。
手塩にかけ、丹精も込め、しかも今日も安定感抜群のこの珈琲を。
とりあえずあなた達の誰かにこれあげる。
ずっと欲しかったんでしょこれ。
ずっと待ち望んでいたのでしょこれ等と一人呟いて、腰をあげた。
とりあえずパシャリパシャリして、
持ち上げたマグカップを一端元に戻すことにした。
したら不思議な事が直ぐ起きた。

その誰かが私の留守の時にやってきたらしい。
目下の問題はフチ子の不在。
ここに来れば会えると思い、色々頑張ってきた。
フチ子と初めてあった場所はここだった、、、
しかし、が、しかし、
底冷えするような寒さと、辛さと、悲しさを乗り越え、僕にも漸く、春がきた事は確実である。
まさに、三度目の正直って感じかも。
だってときめいちゃったんだもん。
だって、お見せ出来ないけれどちゃんと元気ですもん。
しかしフチ子がいなければ何も始まらない。
一体全体どうしたら良いのだろ?
教えてGoogle先生!と聞こえて仕舞う。
不思議だった。
その間の私は、珈琲の前にいなかったしみたいな。
風の便りか?いちいち感謝。
完
(書く女シリーズ)
(珈琲女シリーズ)
(アイツシリーズ)
(フチ子いないシリーズ)