8月8日日曜日。
雨の音で目覚めて仕舞った。
どうしようか?と思う事なく直感的にもう少し眠れると思った。
私の小鼻が自動的に膨らむ。ニヤリ、キラーンだ。
私は、私の大事なパートナーと、もうちょっとだけこうして寄り添っていられるからだ。
熱の抜けない私達の身体に冷たい風が酷く心地好く、今を生きていると言う実感を得られる。
快適で居心地が良い温度設定と環境。
とりあえずその中でとろとろ微睡み、うだうだしながら戯れ、
とてつもなく大きな優しさに私達だけが包みこまれている気がした。
そんな事に現抜かしていたら、
8時30分にご飯お願いと言う昨夜の約束を守れなかった事に私の胸がちくりと痛み疼いて仕舞う。
ご飯を炊く事を忘れていた私の大事なパートナー。
しかし私は、何かしらの事情があったのだろう、
だからできなかったのだと思い、
その失態について声をあげ攻め立てたり、
鬼のような顔して罵ったり、
お前なんかいる意味も価値もなしみたいな態度で、
悪態をつけ、愚痴るような、そんな意味のない事はしない。
しかし流石私の中の男。大丈夫だよと言い、穏やかな表情を私に向ける。
日焼けした肌に盛り上がった筋肉、粒羅な瞳の奥で輝く光に、私は今日初めて太陽を見た気がした。
外では雨が降っているのに。
その数分後、ご飯が炊き上がる音ピーピーを皮切りに、ドタバタ、モグモグ、ガチャガチャと、
色んな音を聞きながら一つ屋根の下では、小さく細やかな人生劇場が勃発された。

そんな私達の様子をじっと見、一部始終を唯一知っているのがこの雨の日ソコ子。
憂いと皮肉、諦めと強さの混在。
冷酷に人を突き放しそうに見えて、
その実、永遠に得られないものを求め、
ただひたすら地にひれ伏している孤独な女。
暑くたぎる想いを傘の取っ手を握る事で、
自分の感情を今日も押し殺そうとしている。
私に出来ることは写真を撮る事。
勇猛果敢に立ち向かう彼女の今の姿を、
形あるもので残し、全国発信する事。
頼まれてはいないけれど私がやりたいのだ。
この後心の檻が、冷たいアイス珈琲と共に、
スーっと落ちてゆくのを知っているつもりだからだ。
15ピース程のパズルの最後の1ピースをついに納め、
完成したあの時の喜びを再び得る。
その次の瞬間七色に輝く虹が見えた気がした。
(書く女シリーズ)
(ソコ子シリーズ)
(友情出演、私の身体と私の息子)