体温が上がり身体が火照り始めたので、
3杯目の珈琲をグラスに注いだ。
勿論GEORGIAのブラック。
good lack!、HELP!!、don't worry!
MG!Enjoy!Thank You!sorry!等と、
珈琲をグラスに注ぐ度、
大事な人を慰労する時のようなメッセージがいちいち私の目に飛び込んでくる訳だけれど、
私には無縁なのか、どれもとても新鮮に見えてくる。
とりあえず、
めんどくさそうに見えない玩具フチ子を、
透明グラスのフチに乗せた後、
いつものように写真を撮った。
って言うのも、玩具フチ子とグラスには、
事実上、相性と言う、
私の目には見えない何かが存在しているからだった。
もしも、そこだけに焦点を当てた場合、
いくら私が買ったものだったとしても、
2つ(2人)の間には決して介入出来ない何かがある。
とりあえずその何かが解らないのだけれど、
中にはグラスのフチにうまくおさまってくれないフチ子もいるし、
引っ掛ける間もなく、直ぐに落ちて仕舞いそうな危なっかしいフチ子もいる為、
私は私で色々と一人、無駄に暗中模索するが、
大体慣れてきた気がする。
それは白ワインには焼売、赤ワインには餃子、
中瓶にはお寿司、中ジョッキには焼き鳥の食べ合わせや組み合わせが美味であるのと、
同じ感覚に近いのかもしれない。
ぴたっとし、きちっとし、
そわそわし、ベタベタし、そのうちイチャイチャするカップルのようでもあり、
又は、ポツポツ降り始め、次第にざぁざあに変わり、そのうち嵐になるのか、晴れるのか解らない空と同じような感じだと思う。
何でも、当てはまる瞬間と言うのは、
この世の思えない位やっぱり最高に気持ちが良い。
一瞬にして脳ミソの奥に焼き付いて仕舞うようだ。
とりあえず、私は大体の事は慣れたような気がするし、
とりあえず、悪魔でも個人的な嗜好に過ぎない訳だから、
赤の他人だけにはとやかく言われる筋合いはない。
そして何も起きないはずなのに、
何故かそのような事が起きて仕舞う。
ただ筋の通ってない人間は、たまに傷。たまにキス。吸い込んで脳ミソまで飲み込んで仕舞いたくなる。とりあえず赤の他人は白熱電球同様時期尚早生産終了だ。
第三者は必要なのかなと思った。
やっぱり安定感抜群!
フチ子の持つ風船が白熱電球のように見えて仕舞ったのは不覚だったけれど、
偶然と偶然の積み重ねがこれだと思い、
狂喜乱舞しながら一人写真を撮った。
案の定パシャリが耳に入る。
その次の瞬間、
さっきまで騒がしかった音の全てが、
一瞬にしてかき消され、
フチ子が掴んでいた風船が青空に舞い上がったように見えてしまう。
いつもの幻覚だ。そしてフチ子遊びも、
そろそろ潮時だなと思いながらも、
やめられない自分がいた。
完。
(書く女シリーズ)
(フチ子シリーズ)
