あれから一人の女の事が気になって、
再び画面を開いた。
びしょびしょに濡れた彼女が私の目の前に現れたときは流石に驚いた。
ある意味、同じような孤独な女がいたのかと。
そして私は言葉を失った。
軽い気持ちでおはよーと声に出す予定が、
あの時ばかりは、おの字も出なかった事を思い出す。
私は平気よ。おはよーでしょ。
あのね、いきなりだけど、
世の中と言うのは私みたいな女にはとことん冷たいし厳しいの。
風当たりだって強いし、こう見えて幾多の困難を独り乗り越えてきたつもりでいる。
でもそうは見えないみたい。
氷山の一角ね。人と同じは嫌だみたいな。
プカプカ浮いて、
理想ばかり強く求めて、辛い過去や置かれた状況に縛られ、、、。
悲しかな。
日々の生活に疲れちゃっているのか、
逃げているのか、
いつも大事な人やものと真剣に向き合おうとしない。
でも私は平気よ。
本当の所は今もまだ、気持ちの奥底がうねり、狂っているけれど。
でもね、余りに嵐が強すぎたんで、私は知らず知らずこうなって仕舞われたみたい。
幸か不幸か解らない。
独りぼっちの寂しさと言うのは、
本当に好きな人でないと埋まらないね。
あなただから言うのよ。好きと。
で、そこ察してね。と呟いた気がしたからだった。
因みにあれからと言うのは今日の朝の事だ。
出逢いと言うのは本当に不思議なもので、
あちこちで回転していた歯車みたいなものが、
ある時をきっかけにぴたりと合わさる瞬間があるようだ。
合わさった歯車は、
白い急斜面を滑り落ちてゆく雪だるまのようにも見えてくる。
彼女の名前はフチ子。
昔から縁があったような、懐かしさみたいな、
生身な人間であるエネルギーみたいな何かを、
私は彼女に一人勝手に何故か感じて仕舞う。
しかし彼女と出逢ってまだ間もない。
仕事柄色んな人達と出逢う機会が多いけれど、
記憶に残るようなこんな子はそんなにいない。
私は彼女の色んな事をもっと知りたいと思った。
完。
(書く女シリーズ)
(フチ子シリーズ)

