4月7日水曜日。
朝、やることやった後はいつものように珈琲をたいた。
お台所仕事に家事、掃除に洗濯、雑事など。
息を切らしたり筋肉を苛めたりする肉体的ストレスは無縁だが、
何故か悶々とし、
何故か心が殺伐とし一人息苦しくなっている。
頭では解っている。
これはポッポポ、鳩ぽっぽ現象だと。
しかし私の心は、
練って美味しいふわふわお菓子、
ねるねるねるね~🎶と言った科学反応を起こしているのである。
否めないのである。
とりあえずいつもの写真を撮った。
適当に選んだ玩具、コップのフチ子をマグカップに乗せて。
シャッター音、パシャリが聞こえた後は、
先程確かに味わった鬱々とした私の気持ちは無くなったと思いこみながらも、やっぱり何故か腑に落ちない。
嫌、これは気のせいだと思い、
1人頭の中がぐるぐるしながらも、
やっぱり心の何処かではまだ得体の知れない何かが停滞しているのであった。
それを心の檻と言うのだろうか。
そしてそんな私を、
コップのフチに舞い降りた天使はただじっと見ている。
健気だな~と言う言葉が何故か落ちてきた。
とりあえず、
五体元気で今日も何とか生きていけると思いこみながら一人納得すればそれはそれで後腐れがない。
そして今日も美味しく珈琲を飲める。
そのはずなのだが、
珈琲と言うお飲み物は、
私のそんな気持ちには無関心なのか、
それとも不知を装っているのか、
それとも自分が苦しいのか、
いつもちょっと意地悪でいつもちょっとくせがある。
絶望と悲しみのフチにしがみついている孤独な女コップのフチ子。
フチ子が見つめる先はいつも底無し沼のような真っ暗な闇。
静かなうねり声をあげながら渦を巻き、それは、と、
言葉を紡ごうとしたその次の瞬間だった。
私はフチ子が好き、そのままでいて。と言う声が何処からともなく聞こえてくる。
私の耳と頭が確かであればその声の主は珈琲女。
そのままでは困ると咄嗟に想ったが、
私はごめんねと1人呟き、玩具を退け、
今日も変わらず珈琲を飲んだのだった。
多少冷めてもやっぱり好きと言う気持ちは変わらないと思った。
完
(書く女シリーズ)
(フチ子シリーズ)
(珈琲女シリーズ)

