『女の朝パート82』 | ☆らんちゃんブログ☆

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落花流水。今在る事の意味や流れを感じながら、自由に書いていきます☆


女が座ったのはスタバの椅子だった。
スタバの椅子だから女が座ったのかは、
わからなかったし、正直どうでも良いのだけれど、
同じ椅子に座っていたおんなにとっては、
この時、この瞬間だけは、
女の肉体があらゆる凝りや痛みから解放され、
途端に、
女の腰が砕けた、
と思わずにはいられなくなって仕舞った。

しかし、本当の所それもどうでも良かった。
おんなにとって今最も大事なのは、
腰が砕けた女の心配する事でもなく、
座る椅子が悪かったのよと言う事でもなく、
もたれる事が出来る椅子が欲しい事の方が、
よっぽど重要だったから。

オンナは、
おんなの大事な背骨や頭を全て支えてくれる、
心大きな椅子が欲しいと言う切なる願いを知っていたが、
どうすることも出来ないから、
時々胸がはち切れそうになり、とても息苦しくなった。


今は、
女の身体がスタバの椅子の上にあったとしても、
おんなの頭が時としてとても重くなったとしても、
オンナの気持ちがただ宙をさ迷うしかなかったとしても、
目の前にある珈琲と甘いものを口の中に入れる他、
解決法は何もなかった。

痛々しい。



完。