『女の朝、パート9』 | ☆らんちゃんブログ☆

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落花流水。今在る事の意味や流れを感じながら、自由に書いていきます☆

ワタシの記憶が確かであれば、あれは令和元年5月2日の木曜日だった。
時計の針は10時を示そうとしており、
窓の外では雨がふっていた。
分厚くて不機嫌そうな雲が空を覆い、
あるはずの太陽や、地上に降り注ぐはずの明るい光は、あの時、あの場所にはなかった。
しかし、
ワタシは、あのとき、雲隠れしてる、と思いながらも、最高にご機嫌だったのは確かである。


誰に言うでもなく、どうでも良い女の呟きは、
田端駅近くのスタバで既に始まっていた。
今日は5月4日土曜日。
窓の外は明るく麗らかな春の空。
爛漫と咲く花達と無限に拡がる青い空に清んだ空気。
雲の流れが早いのはこのあと、このお天気が崩れるからかしら?
今日の天気予報はわからないけれど、風光明媚!上機嫌!順風満帆で、全てが清々しいなぁと女は思った。

そんな時だった。
女がスタバの椅子に座った時、
女は、女の眉と眉の、にいきなりたて皺が深く刻まれたのを見逃さなかった。
まるで苦虫を噛み潰したようなあの感じに近い。
そして次の瞬間には何だか息苦しさを感じた模様。
原因は不明だけれど、
もしかしたら、血も涙もないような皮肉な物体に、
女の心と身体が支配されてしまったのだろう。

暫くすると女は一人で笑っていた。



暗転

女は、今、自分が憎(肉)しみの底にいると思った。
それでも何故ワタシは笑っているのだろう?
その時だった。
女は息つける場所に今、自分がいることを思い出した。





暗転

女は記憶の海を遊泳する。

Noは1645。
オープンしたのは3月19。
場所はJR 東日本総武線沿いにある錦糸町駅の近くにあるPARCOの2階。
エレベーターに乗りその扉が開かれる瞬間まで、
ワタシはここは天国から最も近い場所に違いないと思っていた。
このドアが開かれたその先には一体どんな世界がワタシを受け入れてくれ、出会わせてくれるのだろう、、、。
ワタシの期待は海を超え、山を超えるかのように拡がっていた。
それから数分後。
ワタシは座っていたのだ。
初めて来た錦糸町駅近くのPARCO二階のスタバの椅子に。
不思議だった。予想外の事だったから。
ご機嫌だった。初めて来れたスタバだったから。



初めて記念、にと、写真を撮ったワタシは、
このとき、この日の事は決して忘れまいと固く心に誓った。


今日のようなご機嫌な空はなかったけれど、
このとき、ワタシは確かに最高にご機嫌だったのだ。
皮肉な物体に支配され、自分の心が蝕まれる事なんてあり得ないと思っていたから。


一寸は先はいつも闇。 
今日のスタバはそんな時間になってしまった。
あのときのスタバとはまるで違う。
ゴーゴーと音をたてながらとぐろを巻き、
それは何処までも深みにはまる蟻地獄のような椅子に腰をおろしてしまったのだと思った。
女は苦しかった。
ウエストの辺りに皮肉な物体がまとわりついついていることが、、、。

要するに、ワタシは、今、
雲隠れも出来ない事実と、ご機嫌でいられない現実を目の当たりにし、
あの日の覚悟も決意も、笑うことすらも忘れ、
どうにも止まらない事をしでしたがために、
こうなってしまった事に気がついた。