吉祥寺駅の駅ビル-アトレ2階にあるスタバの椅子に。
店内はとても暖かい。
女は腰を降ろし、珈琲を一口飲む。
とろとろ流れ落ちるそれに軽い喜びを覚えると、
女の心は形を持たない暖かさと言うものを感じた。
そしてそれは、
遠くに向かうさざ波のようにどこまでも拡がった。
ここにたどり着くまで色々な事があったけれど、
ここに来て、一区切りついた、と女は思った。
ほっとして全身の力を抜いてしまう程の余裕はないけれど、
かといって、
ぶつぶつと一人どうでも良いことを呟やいているつもりもまるでなかった。
一区切りと言うのは、始まりであり、
同時に終わりを示している。
その終わりもまた始まりで、
混沌と流れる時間の中でそれを絶えず繰り返しながら、
遠くにある果てしない夢幻を追いかけて、
今日もワタシは自分の足で歩いてゆくのだ



はかないかな。いや、はいてるさ。
だって靴がなければ遠くまで歩くのは難しいから。
珈琲一杯のゆとり
。


なんて贅沢な時間なのだろうと女は想う



なんて豊かな、なんて味わい深いひとときなんだろうと女は想う







これを夢と呼ばず何と言う言葉で表したらよいものか、、、。
スタバの椅子の上で足をゆっくりと組み変えた女。
自分の足もとを見る



一日の始まりには必要不可欠だと思っている珈琲を何度も味わい、
新しくおろした靴に喜びを覚えながら、
これから起きる今日の夢幻に向けて現ぬかす。
完