今年の君は
今ではなくて
冬の山を見ている
瞳の中に煙を燻らせて
案じてばかりの案山子のよう
小鳥にいちごを食べられても
きつねが誰かを馬鹿しても
君のそばには私がいる
小鳥は新しい種を運んで回る
きつねは誰かに騙されている
それを知るのは春の風だけ
風は過ぎ去っていく
色んな噂話を巻き込みながら
桜の花びらも散っていく
また来年咲けるように
風があなたの横を吹き抜ける
今美しく咲き誇る桜を見て
あなたは
あなたの美しさについて考えてほしい
1年後に桜の花は咲く
収穫の日
案山子は安堵する
君は
今すぐ笑顔になる
雨風が吹き荒れても
通り過ぎるのを待てばいい
私が戸を立てる
風かきつねがノックしても
知らんぷりしよう
私はあなたにスープを作る
戸口のねこが
きっと客を追い払ってくれる事だろう