自信満々であるよりも
涙と怒りで震える位、慟哭したい
ある目の不自由なひとが、杖をつき、地下鉄の構内を歩いていた。
そこには側溝があったので、危なければ助けないといけないと思い、見守っていた。
その方が溝に近づきながら歩いているように見えた。が、はまる事なく、エスカレータの前に着かれた。
しかし、そこは下り用エスカレータの前であった。『危ないので入らないでください』と床に注意書きがある。
その方はしばらく、杖の先で足元の黄色のボコボコに触れられ、隣のエスカレータの前に移り、そして、上って行かれた。
私は、ショックであった。
上りも下りも、足元のボコボコの見た目は同じだったのだ。何故解ったのだろう?
私は同じエスカレータを上りながら、泣きそうになった。
目は見えている。
耳は聞こえている。
歌を歌える。
自由に四肢五体が動く。
しかし、何が出来るのだろう?
私は何をしているのだろう?
揺れた飛行機に乗った後だったので、
なおさらだった。